何者でなくてもいい。

 昨日帰宅後、窓を全開にしてビールを飲んだ。まだちょっと蒸し暑さは残っていたけれど、冷えたビールを飲むにはちょうど良い。去年だったか、夏の昼間に同じように窓を開けて夏を楽しんでいたら蝉が飛び込んできて慌てたのを思い出した。蝉もさぞかしびっくりしただろう。飲んだのはオリオンビール。秋の終わりか冬の入り口あたりに沖縄に行こうとしている私は、最近そこをモチベーションに仕事を頑張ろうと思っている。
 夜の空気が心地よかった。40℃近い気温が続いていた時には出来ないことだ。こうして窓を開けられる季節になると、私はこの和室の窓辺にずーーーーーっといて、お酒を飲んだり本を読んだりしている。今年は仕事になった刺繍をするのもいい。向かいに大きなファミリー向けマンションがあって、時間帯問わず人の出入りがあるのだけれど、気にしていない。自分が思っているほど、人は自分の事を見ていない。見られていたとしても、「なんか窓辺にずっといる人」くらいのものだろう。恥ずかしさも、さしてない。あと一ケ月もすれば、昼間でも窓を開け放って読書など出来る季節が来るだろうか。その前に台風シーズンか。

 冬生まれだからか、長らくスノーボードをしていたからか、この秋から冬に向かう季節(まだ今は夏だけれど)がいちばん好きである。20年くらい前は、一人だろうが滑りたいを優先して山に通っていた。忙しい仕事をしていたけれど、休みの日に何もしないなんてもったいなくて、特に雪山がオープンしている日は出来るだけ山に行かないといけないなんていう謎の強迫観念のようなものにとらわれていた。細かくは割愛するけれど、人にもたくさん迷惑をかけた。迷惑をかけるようなことが起きるということは、自分も無理をしていたんだろう。若かった、だけでは済まされないけれど、若かった。
 趣味なのにスノーボードがうまくなりたくて、それは人より何か秀でているものがないと、自分のことが認められなかったような気がしている。未熟だったなと思うけど、必要な時期だったんだろうな。
 そういうわけで、もう少ししたら私のいちばん好きな季節が来る。特に、秋からぐんとまた冷え込んで、冬に入った、と思える日の匂いのようなものが好き。気温が下がると、空気の匂いも変わる。それが好きだ。

 何かないと自分がないような気がしていたのはいつまでだろうなと考える。
 ちょうど昨日、「すごい人って自分がすごいっていうのを纏っていないよね」というような話をした。自分はこういう感じです!という空気やそれと分かるようなものを身に着けているうちはなんか違うよね、とも。私はそういう人たちに憧れるとともに、まだまだそこには行けないなと思う。
 今週、みうらじゅんフェスに初めて行った時にも思った。MJに関しては、もう全く手の届かない範疇なので、比べるのも失礼な話だけど刺激が強くてヒリヒリした。
 これからもそういうものを摂取して暮らしていきたいな。

 さて今日は仕上げに取りかかる作品が立て込んでいます。家から出なくてもいいように、珈琲も食材もある。昨日の夜、猫につられて寝落ちしたおかげで途中までしか聞けていないプレ金ナイトを聞きながらはじめるとします。

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