祭りの終わり・・・スカフェラレネェ話
弘前ねぶた祭りが終わった。子どもの頃は、祭りが終わると急に寒くなり秋の気配がした。寒くなると、夏休みが終わってしまうようで悲しかった。子ども心に、津軽の夏は短いと記憶されていた。
今日は、なぬかびといって、ねぷたが午前中に運行される。土手町と言うメインストリートを夜とは反対方向に進んで行く。
色々あって、祭りを見物できなかったくるみは、せめてこの明るい時間のねぷた運行を楽しみにしていた。
「昼のねぷたなんて」と、言う人は言う。確かにねぷた祭りは夜のものだと思う。大きなねぷたに明かりが灯ってこそ、ねぷたの美しさ、おどろおどろらしさをより感じられる。
でも、昼間の運行も良いのだ。 街を歩くくるみの耳にざわざわと音が聞こえてくる。街の中のざわめきがいつもとは違う。遠くに鳴る笛や太鼓の音、祭りの中にいるという雰囲気。その音にだんだん近づいていく喜び。
くるみがねぷたに参加していた頃、なぬかびには出たことがない。それこそ六日目の最終日に燃え尽きてしまうのだ。・・なんてことはないけど、最終日に参加し、さらに次の日の午前に出かけるのは、夜より労力がいる。嫌嫌、あるいは、無理やり、参加している人もいるかもしれない。とにもかくにも運行してくれる人達に感謝だ。青空の下のねぷたも素敵だもの。
日傘を差し、ちょんまげのように髪を結った外国人がスマホでねぷたを撮影している。絵になる。
運行するねぷたによって、演奏するお囃子も微妙に違う。早かったり、激しかったり、ゆっくりだったり。くるみも一緒にリズムを取る。自然と体が動く。いいなぁ~。やっぱりねぷたが好きだ。
夜のねぷたは、闇の中に消えていくけれど、なぬかびのねぷたが消えても、街の中は明るい。その明るさが、さびしい。あっけらかんとしている。
最後に「本日終了」の灯籠を持った人が来て、祭りは終わりとなる。心に余韻を残し、ねぷたは去っていった。
夜になると、岩木川で「なぬかびおくり」がある。河原で焼かれるねぷたもあるらしい。なんていさぎよいんだろう。わっと燃えてぱっと散る。まるで短い津軽の夏のように。・・最近の津軽の夏は、いつまでも暑い。なんかおかしい。
来年こそは、ねぶた祭りはもちろん、なぬかびおくりにも行ってみたいなぁとくるみは思った。
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