べにっき#2

主よ、昨日の夜投稿するつもりが寝落ちた私をお赦し下さい。アーメン。

というわけで昨日も私は営業活動に勤しんでおりました。

よく考えたら基本同じような毎日を送ってるからコンスタントにブログ更新し続けるの普通にしんどいだろという気持ちが大変強いです。

しかし代わり映えのしない毎日を彩りエンターテイメントへと昇華するのが私たち"配信者"という生き物です。

というわけで今日遭遇したとんでもねえお客さんの話をしようと思います。

端的にいうとパンイチのおじさんでした。

いつも通り地図を見ながら一軒一軒扉を叩き続ける作業を行なっていたのですが平日の昼間なんて大体留守か定年を迎えたご高齢の方が出てくるくらいなんですよ。

ご高齢の方に最も接する"人数"が多いのは恐らく老人ホームやデイサービスのスタッフの皆様ではなく我々飛び込みの営業職だと言うことをご理解頂きたい。

そんな中聴こえた「はーい」というやや張りのある声、若い。若いと言っても恐らく60代前後くらいだろうか。

あまり高齢な方との契約となれば慎重に慎重を重ねて対応しなければ身内からのクレーム、最悪「判断能力が十分ではない相手との契約」として消費者庁なる上位存在から行政処分を下されかねない。

普段70歳を超える相手とばかり会話していると60代はかなり若く感じられるのだ。この声の主は多少強引な営業をしてでも弊社の顧客として迎え入れなければならない。

期待に胸を膨らませ扉が開くのを待ち続けていると遂にドアノブが動いた。刹那を永遠に引き伸ばしたかのような緊張感の中扉の奥から出てきた男。

その男は体表の9割を肌色で覆われていた。

限界まで回転させた思考回路は確かに私の中の時を止めた。

マ ジ か こ い つ

彼はなぜパンイチなのか、なぜパンイチで出てきたのに少しも恥ずかしそうな素振りをしないのか、なぜパンイチなのか、なぜ扉を少しだけ開けるとかではなく全開にして外に出てきたのか、なぜパンイチなのか、いやマジでなんでパンイチなんだこいつ。

とりあえず絞り出した第一声は「お忙しいところすみません」だったと思います。

とりあえず勧誘の目的、事業者の名称、役務の種類等を伝えながら営業用チラシを渡したら男はあろう事かそのチラシを股間の位置に下げて俺の顔をジッと見つめてきました。

今からそのチラシ見せながら説明すんのに股間の位置に置いてんじゃねえ。

股間に視線を向けないように男の目を正面からしっかりと見据えて営業トークを繰り広げました。面接でもここまでしっかり相手の目を見ながら話した覚えねえぞ。

そこから先の事はよく覚えていません。気がつくと再び知らない家の扉をノックしていました。ただ胸中に渦巻く謎の敗北感だけが、パンイチ男に私の営業が断られた事を確信させる唯一の証拠でした。

以上で昨日の業務報告を終わります。今日はまともな人間とだけ出会えますように。

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