ベニッコ

うつつのうきよ

夢を見ていたの もう昨日には帰れない 凛としたあなたの横顔は もうずっと遠くに 手を伸ばせば掴めたはずなのに あれは夢だったの? 夢だったのよ うつつのうきよでまた...

ラブレター

真夜中の信号機って、どきどきする。 しんと、静まった冷たいアスファルトの上、 誰も通らないのに、誰も通らなくても、色を変える。 わたしはベランダから、その赤や青を...

昼休み

「あの人は、誰かと一緒に生きることができない人だったの。」 そう言ってから、わたしはふふ、と笑った。 わたし以外の誰かと、一緒になったかもしれないのだ。

愛したかった

愛したかったのだ 家族を 友人を 人生を わたしの中に愛はない 大事なものたちを愛せない 掌で握りしめて 両腕でしがみついて これなら これなら愛せているのではと 何百...

呪い

ありのままの自分でいい なんて嘘 わたしはそんなの信じないよ けれど 17時までのわたしは いつかの自分に騙されていたんだなって 今ようやく気づいたところ わたしを縛...

思春期の話

泣きたい夜にあなたはいない あの日もあたしはそう言って 一人で浴びる 夏の中 泣きたい夜にあなたは来ない あの日のあの部屋 あの窓で あたしは空に 溶けてった 思...