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日本素材のジャパニーズトニックウォーター


Bar BenFiddich店主の鹿山です



日本生まれ
日本素材の
トニックウォーターが
誕生した話




トニックウォーターといえば
ここ近年、
世界中で様々なクラフト的
トニックウォーターが
リリースされているのは周知の通り


トニックウォーターの味わいが
トニックウォーターたる由縁の
皆が持つ共有イメージは


苦味


それは
キナ皮の樹皮に含まれる
アルカロイドの苦味成分であり
本来は抗マラリア薬として
世界を救った熱帯性の高木


それが現代に至っては
医療の分野

嗜好品の分野

分派



今日はそのトニックウォーター
の嗜好品としての話し



Barにおいての必需品最高ランクといえば
トニックウォーターであろう

ジントニックに代表されるカクテルに
続き様々な用途で多用される

日本においてはキナの樹皮における
キニーネの成分は劇薬指定の為
使用はできないが

製薬会社により加工されたキナ抽出物
であれば使用可能

よってそういった部分をクリアしている
ものであれば国産であれ、
輸入品であれ、
日本にも数十種類の
トニックウォーターが存在する


ここからが本題

キナ抽出物【キニーネ】
ではない苦味素材として
キハダ抽出物【黄檗】を用いた
日本産トニックウォーターが誕生

その名は
『HIYORI Laboratory』
より

『Kizashi黄檗トニックウォーター』


何が今までのトニックウォーターと
違うのか?

キナ皮の樹皮ではなく
日本産の黄檗(キハダ)の樹皮を
使っているのだ


黄檗(キハダ)は
ミカン科キハダ属の落葉高木である


日本においては縄文時代より縄文人が
健胃剤として使用していた
痕跡も確認でき、
日本が古来から使用してきた
歴史ある素材


もちろん鹿山のBenFiddich畑にも
数年前に黄檗の木は植えており
スクスク育成中


黄檗(キハダ)の苦味成分は
キナ皮同様樹皮にある


↓この黄色い部分を使う




黄檗の名前の通り、黄色であり、
これでトニックウォーターを作ると
黄色である


ではこの黄檗(キハダ)トニックウォーター
どのように作られているのか?

まずは黄檗(キハダ)濃縮液を
手に入れるところから始める

黄檗は生薬であり、
中医学、韓医学、漢方でも使われいわゆる
薬であり、取り扱いは製薬会社となる


Kizashi黄檗トニックウォーターの
黄檗(キハダ)濃縮液は京都にある
小城製薬株式会社様で作られる




小城製薬は100年近く歴史のある製薬工場


とある日に製造工程を見学


皆様に製造工程の写真をお見せしたいところだが
そこは製薬会社様であり
【極秘】
鹿山は写真を撮らないと承諾書にて
承認した上で製造工程を見させてもらった


いままでこういった濃縮液、粉材は
どうゆう風にできてるのだろう?
つくづく思っていたが
最新機器も導入しているが
思いの外
シンプルな部分はシンプルだった。

鹿山はバーテンダーなだけに
酒類製造工程に関しては様々な
蒸留所、醸造所の見学をした。

面白かったのは
生薬に使う素材の特性で
抽出方法が違うということ

『Kizashi黄檗トニックウォーター』
で使われる黄檗濃縮液の製法は
【流エキス】の分類になる


【流エキス】とは?

『生薬の浸漬液でその1ml中に生薬1g中の
可溶性成分を含むように製した液状の製剤』


わかりやすくいうと
黄檗(キハダ)1kgの素材を
アルコールに浸漬し、
その後濃縮させ
その濃縮液が1kgになるということ

相当濃ゆいということだ


キハダ濃縮液【流エキス剤】
おしぼりが黄色っぽくなってるのがわかる↓


作り方は?

① 30度の含水アルコールに
キハダの樹皮を抽出

② 50度の温度で減圧蒸留をし濃縮をする


ここで面白いのが②の工程だ

なぜならバーテンダーの僕らなら蒸留といえば
蒸留され気化したものを液体に戻し回収、
それが嗜好品としての製品になる。

キハダ濃縮液の流エキス剤は
【その逆だ】


30度のアルコールに浸漬したキハダ浸漬液を
素材を壊さぬよう50度の温度で減圧蒸留させ
アルコール分を気化
その蒸留釜に残った残渣が
濃縮されたキハダ流エキス剤となる


皆様に製薬工場の製造工程の
写真をお見せしたいところだが
写真はNG
様々な蒸留機等々、様々な条件に合わせた
浸漬のやり方
こうやって様々な濃縮液は作られているのを
目の当たりにして久々に感動





そしてその黄檗(キハダ)濃縮液を用い
砂糖、柚子、シークワーサーの
柑橘を用い
トニック原液を作る


そもそもトニックウォーターなどの
清涼炭酸飲料水というのは
濃縮液を作り、そこに充填所で炭酸水を注入して
伸ばして作るのがセオリー


では黄檗(キハダ)の木ってどこに生えてるの?

答えは日本全国どこにでも生えてる

人工林ではない自然林であるならば
自生しており
縄文時代から人々が活用していただけに
ありふれているのだ


『Kizashi黄檗トニックウォーター』
の会社は
『HIYORI Laboratory』という
勝沼にあるワイナリーが手掛けている



山梨の勝沼からでもすぐ山に入れば
黄檗(キハダ)の木々は山程ある




山梨の林業組合に伐採体験をさせてもらった


ぶぃーん


伐採した黄檗(キハダ)の木。
樹皮はぬめりとしており、黄色


これが縄文時代から縄文人も健胃剤として
使用しており、現在は生薬の原料になる


樹皮の部分が黄色味を帯びている
Kizashiトニックウォーターと同じ色彩


黄檗はね、
縄文時代より日本人はずっと
寄り添ってきたボタニカル

キニーネじゃなくて良い。
キナの木は戦前日本が栽培を試みた
歴史があり
鹿児島、沖縄で失敗してる歴史がある。
(日本統治時代の台湾では一部成功)

日本でトニックウォーターを作るならば
日本のもので作って良いと思う

それができたら日本のクラフトジンも
隆盛中であるならば
トニックウォーターも日本産のものを
使えば
ロマン的整合性は高い
嗜好品だから

この生まれたばかりの
『Kizashi黄檗トニックウォーター』が
日本に定着すれば
原料である黄檗の重要性も知られ
農業、林業とも手を合わせることも
可能になることができる


素晴らしいじゃないか


日本産であり
日本産原料のみで作る
トニックウォーター


鹿山は応援し続け
実はこのトニックウォーターの
ブランドアンバサダーを務めている

日本に今後様々な
クラフトトニックウォーターが
生まれてるくることを願って


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