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思い出して足を運んでもらえるBarの本質。ペナン島の創業104年のBar。


マレーシアのペナン島。

ここには創業1920年の
古い歴史あるBarがある。

その名も『Hong Kong Bar』
Barとしての創業は1920年。

since 1920〜と書いてある。




現在は1955年に事業を引き継いだ華僑系の夫妻が1955年〜2024まで現在も営んでいる。

左上の写真が当時ここのHongkong Barの事業を1955年に引き継いだホーさん。
現在は娘が切り盛りしている。
時が経ち娘もおばぁちゃん。
1FがBarで2Fが住居。
なので子供の時から手伝っていたそう。


『両親はとっくに他界したけど、この飾ってある遺影があるおかげでいつも監視されてる気分になるから仕事が続けられるのよ‼︎』


と冗談を言ってくれた。


ここは時が止まったようなBar。


周りには音楽がガンガン流れ混む飲み屋があったり、洒落たレストランが立ち並ぶエリアでもある。

でもここは日本で言う所の昭和の佇まいのような。ノーミュージック(無音)であり、出されるものといえばビールと注ぎものくらいだ。もちろんカクテルなどはない。

ホーさんは手品が得意だ。
これも昭和のBarのマスターの必須科目。
これは全世界共通だったのだろう。


店内の様子。
お客様は僕ら一行だけだった。



実はここ。
1960年代〜1980年代までは大いに賑わったBarだったんだそう。

バターワース空軍基地というのがペナン州には存在しており、1957年にマレーシアが独立した後もイギリス軍が空軍基地として使用。オーストラリア軍も共同で使用していた為に多くのオーストラリア軍人、イギリス軍人がここのBarを愛用していた時代があったのだ。

当時の軍人達が休暇中に楽しんでる写真が飾ってある


1990年代以降からはペナン州にあるバターワース空軍基地は完全にマレーシア空軍基地の物になった。それからはオーストラリア空軍、イギリス空軍は撤退。
そこからはHongKong Barの営業は静かなものになったそうだ。


それでもいまでも2000年以降は
当時の退役軍人達が昔を懐かしみここを訪れるそう。戦友会みたいなのもここで行われる。

年老いて退役した軍関係者が家族のサポートの元わざわざ再訪するそう
軍関係の小物が多く飾られている。



冷戦時代のバターワース空軍基地は共産圏に対抗する為多くのオーストラリア、イギリス軍がここペナンに駐屯していた。
『Hong Kong Bar』も大いに賑わっていた。

だけれども
1990年〜にソ連が解体して冷戦時代が終焉を迎えると共にオーストラリア、イギリス軍もペナンから去り『Hong Kong Bar』も一つの役目を終えた。


一つの役目は終えたが
今では当時の1960年代〜1980年代に活躍した退役軍人達が若かりし頃、古き良き時代を思い出そうとHongKong Barに立ち戻ってくるそう。
彼らはビールを飲んで店に飾ってある当時の古い写真を眺め若かりし頃に想いを馳せる。


つまりは一つの役目を終えたが
第二ステージに突入したのだ。

『HongKong Bar』は当時をここで謳歌した人達にとって思い出させてくれる大切な場所であり今でも多くの人に必要とされているから今でも存続している。


人生の時間の一片に過ごした時間と場所。

こうやって思い出してもらえるBar。
思い出して足を運んでもらえるBar。

BenFiddichもそうゆうBarで在りたいなと強く思いました。

104年間の重みを感じました。





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