見出し画像

ケニア高地アフリカンジュニパーベリー収穫体験。

BenFiddich店主の鹿山です。

ジンの主原料のジュニパーベリーというと
ヨーロッパ原産をイメージする。
実際に広義の意味でのセイヨウネズ(Juniperus communis)はヨーロッパを中心軸に広がりを見せている。
また極東アジア及び日本のネズ(Juniperus rigida)となる。

地球上の北半球にネズは分布するのだが
唯一南半球まで到達したジュニパーベリーがある。それがアフリカンジュニパー(Juniperus procera)だ。

別名アフリカペンシルシダー、イーストアフリカジュニパー、ケニアシダーとも呼ばれる。

僕の秘蔵の本。世界のジュニパー網羅本
アフリカンジュニパー(Juniperus procera)の分布図。唯一地球上で南半球まで到達したジュニパー。その理由は↓
このように東アフリカを南北縦断する巨大な大地溝帯沿いにアフリカンジュニパーは自生。
標高2000mが生育適正らしく
大地溝帯沿いに陸続きで
ジュニパーが自生縦断する
左の山がずーっと南北にアフリカを縦断している



因みに2021年に北マケドニア共和国へジュニパーベリー収穫体験をした時も標高1500m以上がジュニパーベリーの生育適合地と伺っていた。
マケドニア編の記事もよかったらどうぞ↓



今回の本題は
そんなアフリカンジュニパーベリー(Juniperus procera)のフレッシュ蒸留をしているジンの蒸留所がケニアのナイロビにあるというので伺ってきた。


その名はProcera Gin 蒸留所

ケニア人のガラス職人による手吹きのボトルであったりボトルネックのレザーはケニアの牛。コルクもアフリカンジュニパーの木を使っていたりと細部にわたってアフリカに拘る。
因みに後ろにある木が
アフリカンジュニパーの木。
従業員の皆様。
昼食をご一緒させてもらった。ケニアの人々の主食のウガリ。
手でコネて食べる。
おかずの鳥の色々何かのスパイス煮込み。
オーナーはオーストリア人のGuyさん。
蒸留器もとても小さい



よって年間生産量はこのタンク4つ〜5つ

収穫されたアフリカンジュニパーベリー↓

因みにアフリカンジュニパーの木は
1910年代〜より鉛筆の材料の木として使われてきた。過去伐採し過ぎて木が減少し、今は保護対象として使われていないが僕らが幼少の頃、学校の机でノートに書いて使っていた鉛筆はジュニパーの木だった可能性もある。幼い頃から僕らはジンにまつわるものと触れ合っていたと思うと感慨深い。


このProcera Ginはアフリカンジュニパーベリーのフレッシュ蒸留に情熱を傾けたジンの蒸留所だ。

彼らの哲学としてはこうだ


僕らは以前はワインを作っていた。
ワインを作る時に葡萄を乾燥させたレーズンは普通は使わないでしょ?
人間に置き換えても人間を乾燥させたらミイラだしそれは魂を抜くようなもの。
僕らの強みはすぐ近くにケニアの大自然があるという事。すぐ摘みすぐ蒸留しケニアの自然を液体に閉じ込めさせる事ができる。都会の蒸留所にはできない事を僕らはできるんだ。それはテロワールを表現する事ができるということ。


造り方としても面白い。


フレッシュのジュニパーベリーを破砕(クラッシュ)させてアルコールに浸漬させる。浸漬時間も24時間もしないうちに蒸留。ここで大事なのが
蒸留する際に破砕させたジュニパーベリーを抜く
ということ。こうする事により常圧蒸留の後半の焦げ臭を抑える事ができるそう。

こちらは↓リミテッドエディションのProcera Gin
であるがボタニカルはフレッシュジュニパー、ジュニパーの枝葉、ジュニパーの木の木部のみを使った
【One Tree】Ginとなる。こういった一本の木のみのジンも造る事ができる。

↓こちらの赤マークのProcera Ginはもちろんフレッシュジュニパー蒸留とアフリカの様々なスパイスを織り交ぜたもの。
特に僕のお気に入りはこのSlimというスパイス。
山椒とシナモンを足して2で割ったような香り

そして
Procera GinのオーナーのGuy氏のご厚意により
アフリカンジュニパー(Juniperus procera)の収穫体験をさせてもらった。

首都ナイロビ郊外へ車で数時間の山の中。

アフリカンジュニパーの森へ案内してもらった。

森の中へ
セイヨウネズとの違いはかなり巨木になる。
下から見るとこんな感じ
日本やマケドニアなど四季がある国は
4月に実をつけ一年越して18ヶ月後の9〜10月に収穫というサイクルがあるが、ケニアは四季がないので収穫時期が特に決まってないとの事。
低木ではなく高木になるのでジュニパー収穫部隊が
Procera Gin蒸留所にはいる。
すごいのが彼らは靴など使わないで素足で綺麗に登る
因みに僕も木に登り収穫体験をさせてもらった。
その後、着地に失敗し打撲する。
このように枝打ちしたやつを集めその後選り分ける
実はこのアフリカンジュニパーの収穫体験は
BenFiddich✖︎Procera Gin&アフリカチームの
撮影も兼ねていた。
なのでその場で収穫即席カクテル作り
ケニアは現在治安が悪いので山奥でも野盗が出没するので銃を持った護衛は必須&どこからともなくやってくる子供
氷や副材料などナイロビ市内から持参
採れたてのフレッシュジュニパーとジュニパーの葉、
その辺の草とProcera Ginでカクテル作り。
【レシピ】
Procera Gin 45ml
フレッシュレモンジュース20ml
シュガーシロップ10ml
フレッシュジュニパー数粒
ジュニパー葉 数枚 
自生してたアフリカンホーリーバジル数枚

アフリカンジュニパーベリーはBenFiddichに持ち帰っているので是非食べてみてください。

世界にはまだまだ僕の知らない事がたくさんある。

たくさんの経験をし、知識を吸収し、その体験を
BenFiddichに来るお客様に伝えていけたらと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?