内モンゴル自治区にあった2000年前のBAR
浪漫溢れるものを見つけてしまった。
それは内モンゴル自治区にあった2000年前のBar(酒場)の様相。
そこは内モンゴル自治区の
バヤンノール(巴彦淖爾市)。
ここは内モンゴル自治区における最大の白酒生産拠点。
ここはとてつもなくでかい工場で
いわゆる北中国に住んでる人々の肝臓を満足させられるほどの生産規模を誇る。
それくらい大きな白酒の工場だからサントリーやニッカのウィスキー蒸留所のように博物館のような施設がある。
ふと目をやるととんでもないものを見つけてしまった。
いや、これはもう飲んでみたい。
青銅器の錆が溶け出した緑色の2000年前のワイン。
実はここバヤンノール(巴彦淖爾市)は
中国における葡萄栽培最適地。
紀元前からこの地域では葡萄栽培及びワインが作られており、文献としても残ってるのは漢の武帝(前漢)の時代(紀元前141年から紀元前87年)には西域でワイン醸造の歴史が既に始まっている。
そう中国ワインは白酒なんかよりも全然歴史が実は長い。
そしてここからが本題。
この2000年前の青銅器に入ったワインはこのような形で出土した。
墓跡の空間に夫婦と思われる男女の白骨。
そこに青銅器に詰められたワイン。
酒器、酒造りに使われる各種道具、酒を保存する瓶や柄杓。
説明を受けるにこの亡くなった夫婦は
当時の生活スタイルのままあの世へ行けるように身近にあったものも一緒に墓跡に埋葬。
中国の場合はよくある事で
例えば秦の始皇帝の兵馬俑。
この2000年前のBar(酒場)より200年前の紀元前3世紀に建てられた始皇帝の墓は始皇帝があの世での戦争や生活を続けるために必要な大量の陶製の兵士や馬が同葬されてるのが有名。
死後の世界での生活が現世と似ているとの信仰に基づいている。
この夫婦はワイン造りの夫婦であり
自分達でそれを直接売っていた。
そこにはワインを直接飲む為に注ぐ器、椅子、板のようなものなども一緒に出土している事から造って売るだけでなくその場でも提供していたのではないかと同行していた中国人の方が仰っていた。
2000年前のBar(酒場)。どんなのかなぁ。
この絵面からだけでもたくさん想像ができる。
きっとこうなんじゃないかな。
想像するにこの白骨の夫婦で足踏みして絞った葡萄を瓶に入れて醸してドブロクのようなワインを造りそれを買いに来る人がいたりして、はたまたその場で購入して飲む人がいたりして。
それは正にBARのような。
2000年前も今も本質はそんなに変わらないと思う。
この酒造りの夫婦の墓は前漢末期。
(紀元9年から23年頃)
それは時代区分で言うと
漫画キングダムの春秋戦国時代と
三国志における魏呉蜀の三国時代の間。
激アツじゃないか。
この二つの長編漫画でも酒場のシーンは良く出てくる。想像をしやすい。
この黄河流域で数千年。
たくさんの人の営みがあったのだろう。
妄想するだけで僕は楽しい。
BenFiddich店主
鹿山博康
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