BenFiddich自家製忍冬酒
現代にも受け継がれ存続する忍冬酒
『忍冬』は漢名であり
植物名『スイカズラ』『吸い葛』
別名『金銀花』
花の色が金と銀のようなのだ。
砂糖のない時代花筒には甘みがあり重宝された
経緯もある。チューチュー吸うと甘い。
BenFiddichではこのように忍冬(スイカズラ)で
忍冬氷なんかも作って
忍冬氷に忍冬酒を注ぎロックを嗜める
では忍冬酒とは何なのか?
BenFiddichにある十返舎一九の著書(1813年)
【手造酒法】に忍冬酒は記されている
くずし字で読みづらいが
材料は
忍冬の花(スイカズラ)、焼酎、麹
味醂の製造方法に忍冬の花がプラスされてる感じだ。↓
忍冬酒はどこで作られていたのか?
忍冬酒はもともと1500年代に神谷権兵衛という方が薬草の研究の一環で生まれたもの。
その折に身体によくしかも美味しいという事から徳川家の庇護に入り江戸時代に入る頃には
徳川将軍家の献上酒として全国各地で造られた。
以下各地の有名忍冬酒リスト↓
紀州忍冬酒(和歌山)
伊勢忍冬酒(三重)
筑後忍冬酒(福岡)
肥後忍冬酒(熊本)
遠州忍冬酒(静岡)
尾張忍冬酒(愛知)
長きに渡り泰平の世を築いた徳川家愛飲の忍冬酒とあらばそれ以外の地域でも忍冬酒を模範した
亜種はたくさん生まれたらしい。
よって忍冬酒と言っても一枚岩ではなく
時が経過してゆくに連れ地域性が生まれ
レシピも多様化してゆく。
その一文がここにある。
1697年に著された【本朝食鑑】現代語訳版
近代では、紀陽、伊勢、肥後、筑後の大名が
造って全国に贈っている。紀陽家(紀州徳川家)の酒は甚だ辛辣で香が烈しく
丁子(クローブ)、肉桂(シナモン)の類を混ぜて焼酎に造る。世間ではこれを称賛。
伊勢家は金銀花(忍冬の花)、茨の花を用いて
米麹、焼酎を醸して造る(味醂の製造方法)
甘辛混ざり合って濃厚美味である。やはりこれも
世間では称賛されている。肥後、筑後の家で造る酒は甚だ甘く微香あり、酒を嗜まない人に称賛。その他は各家でも造っているけれど
紀陽家には敵わない。
この一文からわかるように紀州の忍冬酒は
辛辣(辛い)事から味醂ではなく純粋に焼酎に
忍冬等のボタニカルを浸漬して造るもので
ドライ傾向の忍冬酒や
(詳しい製法は記載されていないが糖分はある程度加えると思う)
伊勢、筑後、肥後のように味醂の醸造法の過程で忍冬の花やその他を浸漬して共に醸すやり方など様々だ。
また調べると金銀花(忍冬の花)だけではなく
忍冬の茎、葉も使用するレシピも調べると散見する。そこに丁子(クローブ)、肉桂(シナモン)だけでなく白檀、朝鮮人参、地黄などなども混入するケースもあるようだ。
ただ、これらは1500年代に忍冬(スイカズラ)を
主体とした忍冬酒が誕生してから様々各地で
造られ進化していった経過だろう。
今でも忍冬酒は販売されてるの?
現在では3社から購入できる。
①尾張忍冬酒(愛知県犬山市小島醸造)
②浜松忍冬酒(浜松だが愛知碧南市にて委託醸造。角谷文治郎商店)
③大神神社忍冬酒(なら奈良大神神社にて年に一回毎年4月に販売。これも委託醸造)
その中でも尾張忍冬酒(愛知県犬山市小島醸造)は創業慶長2年(1597)で現在も存続する蔵。
長きに渡り途絶える事なく忍冬酒を製造。
犬山城主の命により忍冬酒を製造。徳川将軍家に
献上をしていた歴史経緯がある。
では日本が誇る伝統的薬草酒である忍冬酒は
どうやって作っているのか?
小島醸造の女将に色々聞いてみた。
愛知犬山の忍冬酒は女将曰く
味醂ベースにボタニカルは
忍冬の花(金銀花)しか使わないらしく
他のボタニカルは使わない。
昔はもしかしたら他にも色々入れていたかも
しれないが今は忍冬の花(金銀花)のみとの事。
とどのつまり色々と調べた結果分かった事は
徳川家の繁栄と共に忍冬酒は全国各地で造られ
各藩で様々なアレンジが加えられ多様化していった。味醂主体のもの、焼酎ベースのもの、
はたまた製造過程において米麹の醸造の過程で
忍冬の生花をすり潰し醸すものであったり、
忍冬だけでなく、丁子、肉桂、地黄などボタニカルを多様するもの。地域性があって非常に面白い。
なので鹿山も作ってみたいと思う。
鹿山畑の忍冬↓
僕はあくまでカクテルの素材として
仕上げたいので焼酎ベースでお作りする。
青鹿毛焼酎
肉桂
丁子
忍冬の花(金銀花)
これを浸漬させる。
10日間後にはこうなる
BenFiddich忍冬酒。
トニック割りでも良し
オンザロックでも良し
或いはBenFiddichならば様々な形でカクテルとして提供。
数が少ないのでお早めに。
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