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Shoe making ナイフの砥ぎ方 part2

前回に続き
靴作りに使用するナイフのそれぞれの研ぎ方をお伝えしたいと思います。
 

普段私が持っているナイフ達 



イギリスやヨーロッパのナイフは 両刃 と言って、一枚の鋼で作られているので、裏表の両面を砥ぐ必要があります。



日本の切り出しナイフは、鋼と軟鉄を合わせて作られていてます。
裏面の土台となるものに鋼、砥ぐ面は柔らかい軟鉄ですので
軟鉄面を砥いで仕上げるナイフになります。


右端が2mmほど色が違うのがお分かりいただけますか?(青線内)
その部分が硬い”鋼”部分です。
左側は軟鉄です。



このように切出しナイフは、
切るのに硬く、砥ぐのに柔らかな構造になっています。


まずはこちらの切り出しナイフ。
右利きの方ですとこちら↓

 


こちらは左利き用↓

右利き用と左利き用では刃の向きが違います。


私は利き手に関係なく、両方同じくらいの頻度で使用しています。

両方それぞれに良さがあります




実際に切出しナイフを砥いでみましょう。


砥ぐ際は、すでに角度のついている軟鉄面を砥石(またはラップスティック)に当てて砥ぎます。


裏の鋼面は砥ぎません。 こちらを砥いでしまうと、軟鉄面を支えることが出来なくなり、フニャッとしてしまいますのでお気をつけてください。

刃先と研ぎ石の端を並行に


長さ、角度を同じにキープするには、刃先と砥石の端を並行に置いて
砥ぎます。

ナイフの持ち方は、
ナイフの面と砥石の面をピタッとしっかり当てた状態を保てるように
以下のようにナイフに指を置くのがお勧めです。


親指を下の方に置き
人差し指は先端の方に


このまま上下に動かし、砥ぎます。




ナイフを支える「腕の肘から手首まで」を棒のように固定して、ナイフと研石の間に寸分の隙間も入れないように、ピタッと密着したまま手を動かします。

ラップスティックの場合、#120番手から初めて、最初は荒い音がしますが、砥げてくると音が軽くなってきます。


軟鉄の研ぎ面の幅は均等に


ナイフを見て、上図の斜線部分が均等に傾斜していたら、
研ぎ面を#240番手に変えて、同様に。
最後の#400〜#600番手まで終わったら


青棒面で仕上げます。仕上げる際も、砥ぎと同じ角度で丁寧に
ゆっくり擦りつけるように行なってください。


この時、裏の鋼面も平らに密着させながら、ゆっくり擦って
バリをとってください。


バリとは”かえり”とも言いますが、ちゃんと砥げている場合
鋼が反り返って生まれます。

バリが出るまで、しっかり砥いでください。


刃先に微かにバリがついています


バリが取れるまで何度も両面、青棒で整えます。

どんなにナイフを砥いでも、バリが残っていたら物が切れませんので、
最後まで丁寧に。



ナイフの長さを変えたい場合。


刃先を長くしたい場合

下の写真のように
”刃の背”と”砥石”の端を並行になるように砥いでいくと
刃先が長くなっていきます。



刃先を短くしたい場合は

刃先と研石を垂直に置き、砥ぐとどんどん短くなっていきます。

頑張って砥でいくと下のようになります。



形が崩れてしまった際には、ナイフと研石の向きに気をつけて見てください。


ナイフ砥ぎをしていると、精神集中ができて没頭して楽しいのですが
やりすぎは、どんどんナイフが短くなってしまいますので、何事もほどほどに。

なるべく、姿勢を正し指先に精神を集中して、動かすのは
肘から指先までだけです。


時々、肩を動かしている方がいますが、肩が動いている場合
ナイフと砥石の角度が安定しなくなってしまいますので、
刃の面が丸くなってしまいます。


自分の指先を安定させてコントロールできるようになるまで
ひたすら練習してみてください。


Good Luck!












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