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47 信用・信頼の大切さの違い

元プロ野球ユーチューバーが増えています。かつてのチームメイトを招いて往時を懐かしむ話も多く、虎党のわれわれのように優勝から遠ざかっているチームのファンは、思い出の中でしか快楽に浸れないので慰められる気がします。また現役選手でないほうが裏側を聞かせてもらえる楽しみもあったり、芸人なみに話術がうまいOBさんのは感心しながら観させてもらってます。

ステイホームでかなり観てるので少々飽きてきていたころ、あるOBのチャンネルで「コーチから、信頼はしても信用をするなと教わった」という言葉が聞こえました。これにおもわず頬が緩みました。団体競技の選手どおしがチームメートのことを信頼できなくなると、互いに集中力を欠いてミスを続けたりするでしょう。しかしチームメートも技術の問題からうっかりエラーしてしまったりサインを見逃してしまったりもあるでしょう。だから「人間的には信頼しつつも、プレーにおいては何があってもいいように心構えしておこう」ということですね。聞いたとたんにすぐに主旨が理解できました。

というのはまさにお世話になった営業課長から教えられた、当時の副社長語録 "Don't trust anybody" の訳の言葉と一緒だったからです。会社での信用は仕事の品質によって左右され、信頼は仕事の取り組み姿勢によって相手に伝わるということです。どちらが大事かではなく両方とも大事です。ただ信用の面だけをチェックされていると、相手を煙たく思うようになります。そこに持ってきて「お前なぁ、ちゃんと最後まできちんとやれよ。俺はなぁお前のことを信頼してねぇわけじゃないんだ。わかってるんだお前のことは。でもよー、終わりまできちんとチェックしねぇと仕事にならんのだよ。」という言い回しで言われると、この人の言うことは聞かなくちゃなぁと思います。この言葉はサラリーマン時代は忘れることはありませんでした。

そのユーチューブ番組を40年前に同じ上司の薫陶を受けた仲間に紹介したくなってメールしたところ、彼は大きな事業本部のプレジデントを勤めていたのですが、なんと定年退職する際のパーティーで "Don't trust anybody" をスピーチして締めたと返信を貰いました。以心伝心でした。

わたしがのちに勤めた会社の朝礼では、事務所も店舗も朝礼で「信用本位っ!」と唱えていました。創業以来の習慣です。その前にお経をあげて始まる朝礼です。他人への「信頼」はお経の中に隠されているので、「信用」のほうを外に出して掲げて両輪を保っていたんだろうと思います。

たまたま昨日、NHKでお寺のお悩み相談のことを報道していました。感染症の予防から「自粛だ自粛だ」と言われるとつい他人のちょっとした動作にも目が移って気になってしまったり、言動までにピリピリしたりして自分はイイ子で相手が問題と見てしまうことがあり、周りがぎくしゃくしてるという相談でした。テレビに出演されていたお坊さんは「善人ばかりのご家庭には争いが絶えないんですよ」という常套句を使って説明されていました。相手を信頼しつつ、でもルールは守ろうねという両輪の気持ちが無いとコミュニティは崩れますよという意味です。