ハ パナソニック理念、ブランド、コミュニケーション、事業構想
松下がパナソニックに社名を変更し創業100周年を迎えた日に、見出し写真にあるような浅草雷門でテープカットをされる創始者松下幸之助氏の写真が新聞広告に載ったことがありました。幸之助師の経営哲学が仏教の影響を受けてることが一目瞭然でした。パナソニックに勤めている親戚が居るので「社名を変更してもこんな広告を載せるって、筋が通っていていいね」と言うと「あの広告は地方によって写真が違う」と教えてくれました。幸之助師は複数の宗派のお役目を兼務されていたようです。
さてこのたび松下幸之助師の経営哲学を学ぶ雑誌「衆知」に、現在のパナソニック特別顧問と浄土真宗本願寺派の現在の門主の対談記事が載ると知りました。幸之助師は西本願寺の総代さんもなさっていて、現在の特別顧問も総代さんだそうです。仏教宗派のTOPが特定企業の関係する経営雑誌に登場することにも興味がありそれも読んでみたいとは思いますが、それ以前に幸之助師の経営哲学と仏教の関係についてあらためて具体的に知りたくなりました。
そこで検索して買い求めたのが、パナソニックのブランドコミュニケーションを統括された方の「経営理念、ブランド、コミュニケーション、事業構想」を一冊にまとめられた書籍です。まず創業当初の綱領や信条に触れるところから始まるこの書物は、世界文化、社会生活、和親協力、感謝報恩などの言葉が溢れ、100年ものあいだ一貫していることを強烈に語られていました。
わたしは漠然と松下ブランドをながめていたなぁ、理解が足りなかったなぁと振り返ることになりました。家電製品が水を供給する水道と同じように人類に欠かせない存在として生活に浸透させるんだというような水道哲学という概念は聞いてもいてなんとなく感じていましたし、松下電器産業に働く社員のホスピタリティや、泥にまみれて働く姿勢は目の当たりにしていました。でも「松下電器」を「真似した電器」と言い換える失礼な言葉を聞いたことがあったり、一方で関西にはシャープという生活に密着した商品開発や営業をされる家電メーカーがあったり、松下の傍系の三洋もありそれぞれがユニークだったので、松下だけが特別といういわゆる「トンガリ」は理解できていませんでした。ナンバーワンであってもオンリーワンかどうかは知らなかったというわけです。
ところが、この書物を読んでいるとむしろパナソニックブランドに昇華していく中で経営理念の「トンガリ」が明らかに見えるような気がしました。特にオリンピックに協賛する意義について、わたしは巨人・大鵬・卵焼き的にしか見えてなかった「規模のものさし」がまったく誤解であったと知りました。おりしも東京オリンピック関係の人間的に好ましくない騒動に対してパナソニックが堂々と表明した「世界平和を実現するオリンピックムーブメントの精神に共鳴」しており「差別は当社の価値観とは相いれない」などのコメントを読むと、こころが晴れる思いがしました。
たまたま祖父が100歳を超えて亡くなるまでパナソニックの大阪の介護施設のお世話になりましたが、この書物の著者さんが事業構想に関わったと書かれていて、祖父が最後まで幸せだったということを再認識も出来ました。オンリーワン以外の何ものでもないでしょう。
今後も日本だけではなく世界のパナソニックとして、トンガッた企業活動をなさることを予測し「洗濯機が古くなってきたなぁ、パナソニックしかないなぁ」なんて思う次第です。