退院

8月25日の退院の朝、

病室に行くと新しいパジャマに着替えさせてもらい

顔色のいい父の姿があった。

「お父さん、お早う! 今日退院だね!」
と声をかけると、

「おはよう。」と静かに言った。

今日は調子が良さそうだね!

ホームに帰ろうね!

と嬉しかった。

総合病院はコロナ渦で大変な中、肺炎の父を受け入れてくれて、治療してくれた。

「肺炎、治してくれたよ!」

と父に言った。

看護師さんにお礼を言って、

老人ホームの方が迎えに来てくれて、

ストレッチャーで父を連れて帰った。

それは、つい2日前のことだ。

この日は、老人ホーム入所、今籍を置いてくれている

軽費高齢者住宅の退所の日でもあった。

特別に作ってくれた入口横のターミナルケアのお部屋

に入った。

しばらく父と過ごした。

病院から引き継いだホームの看護師さんが、酸素吸入

のセッティングをしてくれた。

病院の荷物を部屋に運んで

アロマディフューザーにオレンジの香り。

枕元のタブレットで父の好きな美空ひばりの

曲をかけた。

アロママッサージをした。

手足がちょっと冷たいな…

看護師さんに、「また夕方来ます」

と言って部屋を出た。

朝早かったから、少し休憩したくて、

昼食を摂りに自宅に帰った。

簡単に食事して、夕食のカレーを作り、

高齢者住宅へ。

車椅子、テーブル、椅子。

ターミナルケアルームに入らないものは

軽自動車に詰めて、持ち帰った。

第二便で荷物を取りに行った。

父の所へ行くと

部屋の配置が変わっていた。

テレビを見やすいようにしてくれたのだ。

父は静かにテレビを見ていた。

「お父さん、また明日の朝来るね!」

と声をかけて家に帰った。

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