kintone show+case unlimitedを振り返ってみる #3 「kintone hack予選編」
最初に
Vol.3です。さすがに予選と本選を1本では無理そうなので2本に分けて。今回はkintone hackの予選がどうだったのかをお伝えしたいと思います。
今後kintone hackに出たい!と思った方が見た時に、何かの参考になればというポイントなどもまとめてみました。
kintone hackとは何か?
改めて「kintone hack」とはなにか?一度整理しておきます。
「kintonehack」それは、「ここまでできるkintone」をコンセプトに、kintoneの可能性を広げるショートセッションのことで、コンテスト形式で技とアイデアを競いあいます。(多分あっていると思いますが、間違っていたら教えてください…)
2017年からは予選が設けられ、本選に出場するためにはこの予選を通過しなくてはいけません。
2022年には予選の名称が「kintone hack」。本選の名称が「kintone show+case Unlimited」(以下show+case)となりました。
2023年のkintone hackには26組がエントリーされ、当日オンラインで発表します。厳正なる審査の結果、その中から6組が本選の show+case に駒を進めることが出来るのです。
審査員は、青野社長、運用本部、開発本部、営業本部の方々です。
そんなkintone hack予選に向けての、TEAM K.F.Cの足跡をお見せしていきます。
kintone hack予選2日前
2023年9月2日
予選と本選の一番の違いは「オンラインで審査が行われる」ことですので、まずは「オンラインでどう見せるか?」を考えないといけません。
私たちは、兵庫、岐阜、名古屋の連合チームとも言えますので、3人がそれぞれの場所からアクセスしてプレゼンをすることも可能でしたが、1か所に集まって配信しようということになりました。予選当日は月曜日です。事前にすり合わせなどが必要ということで、2日前の土曜日の夜から合流してhack予選の準備を始めることにしました。
まず合流したら腹ごしらえということで聖地サンコックへ。この日は明日からのやることと、タイムスケジュールを確認してさくっと解散!
kintone hack予選前日
2023年9月3日
翌日は我々定番のモーニングから始まります。しかも森田さんや石際さんの知らない名古屋のお店を、兵庫県民の私がご案内するという不思議な感じで。名古屋にあるレトロ喫茶「キティ」のモーニングに行きました。
まずは配信環境の準備から
最適な配信環境を模索する
予選はZOOMで行われます。
一般的なZOOM配信は、「画面共有のオン・オフ」と「カメラ」の2つの切り替えで出来ます。しかし今回の私たちの場合は、
・パワーポイント用と、kintonia用の2台のパソコンが存在している。
・話す人も2人いる。
これを、ZOOM1ユーザーの環境で、スムーズに切り替えながら行うのはかなり難易度が高いと考えました。しかも画面の切替えやミスが発生すると数秒が失われてしまいます。
試行錯誤した結果、以下の配信環境にたどり着きました。
・カメラは「外部カメラ」を1台用意
・カメラはGoProをスタンドに付けて、手で持って移動させ、話し手とkintoniaの画面を映す。
・音声は、話し手用のマイク音声とkintonia用パソコンからの音を「ミキサーを使って、ミキシングする(1つにする)」
・その映像と音声をZOOMから出力する
最大の肝は5分間のシナリオ調整
kintonehackのプレゼン時間は「5分」です。これはkintone hiveの16分、kintone Awardの13分に比べても非常に短い時間です。まさに1ハックしかない時間です。
TEAM K.F.C.のシナリオはいなざわパートと石際さんパートの2部構成。最初に二人で持ち寄ったシナリオをそのまま話すと8分くらいになってらくらくオーバー。そこからは約半分を捨てる作業の開始です。捨てれば捨てるほど骨子だけにならないように、どの部分の肉を残すのかを全員で精査しながらすすめていきました。
その中で重点を置いたことが2つあります。
1つ目は、「引っ掛かりなく見ていただける流れか」
プレゼンって、どれだけ見ている方が温度感を落とすことなく見ていただけるかが大切だと思っています。その為にシナリオ内容、スライドの切り替え、カメラワーク、席の入れ替わり方など、できる限り何度も繰り返し通し練習をして詰めていきました。
2つ目は、「トラブルが発生することを前提としたバッファの確保」
「30秒はバッファが欲しいよね。できれば45秒は欲しいところ」と、5分のプレゼンで45秒のバッファ(保険)ってかなり大きいのです。
その為に、言葉の重複や言わなくていい言葉をカット。スライドも秒数を短縮と磨き続けました。
時間圧縮のため、社名、名前、見せる画面、スライドエフェクト、技術の詳細、解説内容、どんどん捨てられ、時間が圧縮されていきます。これはshow+caseの時もそうなのですが、プレゼンの最初に「TEAM K.F.Cです、よろしくお願いいたします。」と、会社名や名前を言わずすぐにプレゼンに入るのは、他の部分のプレゼン時間10秒を確保するためなのです。
いろいろ精査して、なんとか5分のシナリオにはなりました。納得できるかというとそれはまた別問題。(笑)しかしもうみんな限界…なので今日は早めに切り上げて(とはいっても22時回ってますが)帰って寝ようと。決めてラーメン屋さんにいくのでした。
kintone hack予選当日!
2023年9月4日
予選当日がやってきました!当日のスケジュールはこんなかんじです。
・13:00 希望者のみ予選リハ(事前接続確認)
・15:30 出演者 点呼
・15:35 kintonehack開始&予選スタート
・17:53~17:59 TEAM K.F.C 本番
・19:02 審査結果発表
私たちは11時に集合。一晩寝かせたシナリオの再チェック、オペレーションのチェックなどを行います。
気づけばお昼ご飯の時間を過ぎて、予選リハ(接続確認)の時間になりました。
予選のリハが始まるが…
予選リハというのは、実際の映像や音声が審査員たちに正しく見えているかどうかを実際の環境で試す時間になります。これは希望者のみ行っていただけるようになっています。この接続確認時間は7分。
しかし、リハのZOOM部屋のロックがされていなかったため、次々と他の挑戦者の方が入ってくる事態が発生。できたのは「マイクとkintoniaの音量のバランスチェック」のみ。ちーん。(^ ^;)
どうすんだコレ…大丈夫か?本番ではちゃんと見えるんだろうか…ちゃんと聞こえるんだろうか…?と、3人の中で一気に不安が…
まぁいっか。飯食いに行こう!
閑話休題 昼から喰う寿司は本当は美味しい
接続確認で不安になった気持ちをかき消すために(?)寿司を食べに行こうということで、寿司「極(きわみ)」に!ここの立ち食い寿司は、味が絶品でお値段はリーズナブルというすばらしさなので、名古屋に来られた方はぜひお立ち寄りください。
この寿司パートを書きたいがためのnoteと言っても過言ではない?(笑)
本番まで、あと数時間…
この予選に臨むにあたって、出来る限りのことをしてきました。が、優先順位の関係でほんの少しの心残り(やり残し)がありました。
それは前日にプレゼン時間を確保するためにサイボウズロゴの降りてくる演出部分をカットしたことと、そのあとに流れるクレジット音の差し替えでした。
本番まで割と時間がある(kintonehack予選開始まで約1時間。本番までは約3時間半)のと、シナリオの調整も十分にできた。
この10秒の演出を再度盛り込んでもよいかを(これが最後の発表になる可能性もあるので)後悔しないために、二人におそるおそる言いました。
いなざわ「サイボウズロゴが降りてくるの、復活させられない?」
石際さん「いいんじゃないですか。シナリオのバッファ時間も確保できたし。」
森田さん「やりましょう!」
いなざわ「えーん。うれしすぎるーー!🥹」
ちなみに、サイボウズロゴが降りてくる演出は、ディスクシステムの起動時の演出へのオマージュなのですが、4月に3人で大須に行ったときに見かけた懐かしのファミコンボックス(知ってます?)を「やっぱり、このロゴが降りてくる演出いいよねぇ」とひとしきり眺めて喜んでいたので、復活はかなり嬉しかったです。
もう1つのやり残しのクレジット音は、ディスクカードを差し込んだ際に「ピロリ」って鳴る音なのですが、これが製作途中にラフで音を当てたコナミの「グラディウス」のクレジット音そのものだったものを別の音にしたかったのです。変更許可が出たので、即座に鍵盤を持ち出して作り直しました。その結果、自分の大好きなカプコンの「虎への道」やコナミの「ショーリンズロード」っぽい音になりました。(流石にコレはわかる人いない気がしますが…)
この時、石際さんが(ニヤニヤしながら)後ろから見ている姿がとても印象的でした。きっと「お前らわかってるか?今、開始30分前やからな。」と思っていたに違いありません。
でもこれで、本番に臨むシナリオ、演出、すべてにおいて悔いが残らない状態になり、自分の中で100%完成した!これでやり残したことはない!と感じて臨むことが出来たのは、とても大きかったです。
オンラインプレゼン一番の懸念は…
なにが一番不安だったかというと、プレゼンしながら一人で行う画面の切り替えです。ZOOMで画面の共有を切るのってマウス操作だと非常に行いにくいのです。しかも複数モニタになっていると、マウスがどこにあるかわからない。パワポで集中して話しているなら尚の事…
なのでキーボード操作で、なお且つ絶対にそこに目が行くようにキーボードにマーク(養生テープ)を貼って、見えなくても手触りでキーの位置を確認できるようにしました。
5分という実質タイムアタック中に、ワンオペで画面の切り替えをスムーズに行うには、かなり練習が必要だということがとても良くわかりました。
予選本番スタート
本番ってあっという間なんです。だって「5分」で終わってしまうのですから。ふたを開けてみるとスライドは実質8枚+操作説明という内容でした。
画面の歪みは偶然の産物なのです
プレゼンの中で、みなさまから多くの評価をいただいた「画面がブラウン管みたいに見える!」というあの演出は偶然の産物だったのです。前述のkintonia画面を映す外部カメラは広角レンズを取り付けています。
その結果、モニタを映した際には、広角レンズが魚眼レンズ的な効果を生み出し、まるでブラウン管を床に座った位置から眺める、あの頃の視点に近い映像として映し出すことになったのです。
本編で大きくカットしたkinfamiとkintoniaの技術解説については、薄い本を作成してサイボウズ商店さんにおいてもらうという構想があり、「くわしいことは本をみてください。」と石際さんが出てきて締めくくります。
薄い本構想はその後、カタチを変えてTEAM K.F.C.のホームページで技術解説をしていますので是非そちらをご覧ください!
徹底的に「あの頃の憧れ」を目指しました
今回のkintoniaはいたるところに、私自身のファミコンに対してのあの頃の憧れとリスペクトで製作をしています。ディスクシステム起動画面はもちろんのこと、kintoniaタイトルや音楽も「ゼルダの伝説に挑む」という意気込みで作っていました。
こうやって比べてみると面白いですよね。
しかし、このオープニングは文字のサイズ、キャラクタ同士の間、スクロールの速度、フェードインフェードアウトのタイミング、さらには1画面での発色数など、ほんっとに細かい私のこだわりの要望に対して、徹底的に応え仕上げを行ってくれた森田さんに感謝!
最後に出てくる「くわしいことは本をみて下さい」という紙を持ったキャラクタの石際さんが、ゼルダのリンクのオマージュに気づいた方はどれくらいいらっしゃいましたか?
音楽に関しては、TEAM K.F.Cのホームページで書いていますので、興味があればご覧ください。
運命の結果発表
予選結果の発表は全候補者の発表が終わって、10分休憩を挟んだ後すぐに行われます。もうドキドキの瞬間でした。
Xで公開した私たちが飛び跳ねて喜ぶ瞬間の動画がありましたが、その日どんな自分たちなのかを知るために、予選が始まる前からず~~~っと3時間以上録画していました。今見返すと、その時の自分たちの状態がわかる貴重な映像です。
私たちの2023年最大の喜びの瞬間はこの瞬間だったといっても過言ではないと思います。だってこれを通過しないと、本選のshow+caseに出られないのですからね。飛び跳ねて3回抱き合ってますしね(笑)
反応をいただけて初めてわかること。
後から3人でとても喜んだのが、当日Sli.doにいただいた沢山の熱のこもったコメントでした。「みんな、ファミコンにこんなに反応してくれてる!」って。
kintone hackもkintone hiveもセルフプロデュースの難しさがあると思うのです。どこまで自分たちが作っているものが伝わるのか、響くのか、面白いと思ってもらえるのか?自信をもって作っているし、客観視もできる限りしているつもりだけれど、でも最後の最後、自分達だけではわからないものなのです。目の前に反応をいただけるお客様がいるわけでもありませんので、このSli.doやXで皆さんから反応を沢山いただけてようやく「楽しんでもらえたんだ」「面白さがきちんと伝わったんだな」と感じることが出来ました。反応をいただいたみなさま、本当にありがとうございました。
勝利の美酒「一位」
打ち上げで私たちが向かったお店は「一位」。いい名前のお店です(笑)あらかじめ石際さんが予約をしていただいていたお店でした。
人生の中で「勝利の美酒」というものを実感したのはこの日が初めてでした。心の底から嬉しい状態でお酒を飲むと、本当にお酒が美味しくなるんですね。これまでに飲んだどんなお酒より美味しかったです。「この世の中で一番うまい酒はどの酒か?」と聞かれたら「2023年9月4日、この日の酒だ。銘柄は知らんけど。」と答えると思います。それくらいこの時のお酒は格別に美味しかったです。
最後に
このようにkintone hackの予選配信だけを取り上げても、様々な準備がありました。そしてこれは、私たちだけではなくすべての挑戦者の方がしていることでもあります。みんな自分の持つリソース(時間、お金、能力)を最大限投入してこのkintonehackに臨んでいるのです。他の方のこの準備プロセスなどを、kintone Café やその他イベントのLT、懇親会などで聞いてみると、絶対に面白いお話が聞けると思いますので、気になる方は声をかけてみてください。
さぁ次回は、ついにサイボウズデイズ kintone show+case unlimited本番編になります。予選と本選とではこれまた全く違うバックストーリーがありますので楽しみにしていただけると嬉しいです。どうしても1ポストに時間がかかってしまうのですがお許しくださいませ。
追伸:予選までの振り返りをXでもしていたのでそちらもご覧ください。