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ビジュアルノベル、ノベルゲームが衰退と言われていることについて考察

追記:2021/03/16に内容を一部修正しました。自分が想像していたより、反響があったことに驚きました。こんな駄文を読んでくださった方々ありがとうございます。

1.まえがき

 この記事について書こうと思ったのは、2年前にminoriがソフトウェア開発を中止、つまりはノベルゲームの制作を中止といった記事があったからです。陰ながらminori作品のファンだった自分としてはショックでした。現在efシリーズを絶賛プレイ中ということもあって、ノベルゲームについて自分が感じていることをアウトプットとして残そう、と思ったのが理由で纏めていきたいと思います。

2.ビジュアルノベル、ノベルゲームとは?

 ビジュアルノベル、ノベルゲームとはPCやゲーム機、スマホといったデバイス上で読む小説のことを示します。小説や電子書籍と違う点としては背景、CG、映像、音楽、音声といったものが付加価値で付いている点です。以後、私が口にするときは「ノベルゲーム」と呼ぶことが多いので以降はノベルゲームという単語で統一したいと思います。

2-1.ノベルゲームの歴史

 最初期で有名とされているものは、「ポートピア連続殺人事件」、「かまいたちの夜」、「弟切草」が代表としてよく挙げられますね。ノベルゲーム自体、ファミコン時代から制作されていて、現在のプレステやスマホ、Switchなど基本的にはどの機種にも何かしらのソフトがあります。ノベルゲームの初期というのは選択肢から分岐し、ユーザーに文章を読ませながらエンディングを目指していく、というゲームシステムがベースであり、そこから様々な進化を遂げた結果、逆転裁判、ダンガンロンパ、レイトン教授といった難解事件を解決してものや株式会社ビジュアルアーツのKeyブランドを代表としたAIRから始まりクラナドやリトバスといった感動もの、竜騎士007のひぐらしのなく頃、うみねこがなく頃といった奇々怪々のお話、ソシャゲにもなっているFateシリーズなど正直挙げていくときりがないのですが、色々な派生があります。時に10年~15年程前だとPCが一般普及したときにはエ〇ゲーと呼ばれるジャンルが確立されるほどノベルゲームというのは非常に人気の高いコンテンツとなっています。

2-2.ノベルゲームの素晴らしい点

 ノベルゲームの素晴らしい点について順番に個人的に並べてみました。

①プロのライターによる壮大なシナリオ
②ビジュアル(立ち絵、背景、CG)
③音楽(BGM、SE)
④音声(各キャラがしゃべる)
⑤ノベルゲーム特有のギミックや仕掛け(ゲームによる)

ユーザーによっては順位が逆転するとは思いますが、
恐らく上記のような要素が中心だと思います。


2-3.ノベルゲームを起点に新しいコンテンツの誕生

 最も有名な作品でいうと、Fateシリーズというのは、原作はこのノベルゲームであり、今では世界的に有名になっています。加えてソシャゲをプレイしている人であればほとんどの人が知っている名称だと思います。Fateシリーズはコンシューマーゲーム、アニメ、映画、ソシャゲなど幅広くのコンテンツとして存在し、今も尚人気の高い作品の1つです。


3.ノベルゲームが衰退と言われる由縁

 さて、話が長くなってしまいましたが、ここからはタイトル通りのノベルゲームの衰退について考察します。はじめに私はこの業界に所属していませんし、情報のソースやデータなどを持っているわけでもありません。一人のユーザー目線として述べていくことはご承知ください。

3-1.ゲームジャンルとしての成長、進化が止まっている
 

 ゲーム業界というのはどの方も知ってる通り、常に新しいコンテンツが生まれ、新しい体験をユーザに提供しているコンテンツだと思っています。自分が好きなゲームソフトを思い浮かべてください。基本的には何かしらで常に進化、発展などをしているケースが大半ではないでしょうか。一方でノベルゲームはどうなんでしょうか。個人的には10年程前から今に至るまで何か革命的な進化を遂げているとは正直思っていません。むしろ個人的には、全盛期であった10年~15年程前に革命が起こったジャンルと考えています。
ノベルゲームの業績を大きく伸ばした要素は音声、音楽、背景(CG)が付いた、進化したことにあると思っています。時代的に2000年代というのはPS2、PS3、PSPといった機種が流行り、一般家庭にPCが普及した時代です。また開発環境の変化に伴ってゲーム業界全体が進化し続けているときだと推察しています。さて、現代のゲームと比較してみると今のゲームは当然映像はグラフィックは綺麗、音声や音楽は当たり前のように付いている、ゲームシステム複雑、時に毎日のように日夜世界中でゲーム議論がされる時代となりました。一方で現代のノベルゲームというジャンルで見てみるとどうでしょうか。映像やグラフィック、音声など特定の一部分では何かしらの話題になることはあれど、根本的に大きな話題や議論が行われているようには思いません。つまりはユーザーへの新しい体験という意味では新要素、革命的なことは近年あまり起こっていないように思われます。

3-2.今も昔もコミュニティが作り辛いジャンル
 

 ノベルゲームというジャンルは口コミや宣伝が難しいジャンルだと思っています。これは現代に限ったことではないのですが、一般的に音楽や本というのは他者にお勧めしてもなかなか購入に至らないものだと思っています。ましてや情報社会による取捨選択がしやすくなった今、一層購入するまでのプロセスが長いです。ノベルゲームというのはゲームの性質上、シナリオが重視にされるため、宣伝が難しく、人が共感する部分、感動、感銘した点というのは音楽や本と同様に人によって様々になりがちです。これは互いに同じ作品に触れていて、感想を言いあったとしても双方の満足感が得られないジャンルだと思っています。結果、ノベルゲームは個人がもつ趣味趣向によって左右されるジャンルであるため、十人十色の価値観になりがちなものと思います。

3-3.ノベルゲームが持つ要素は他のゲームジャンルも持っている

 例えば先程ノベルゲームで挙げた素晴らしい点について、壮大なシナリオ、ビジュアル、音楽、音声などというのは、他のジャンルでも当たり前のように付いていると思います。確かに要素毎の力を入れ方というのは違うと思います。ですが、ノベルゲームが持つ要素というのは他のゲームのジャンルも持っている、もしくは持たせることが可能だと思っています。ましてやシナリオといった最大の武器ですら他のジャンルでも重視することは可能です。結果としてノベルゲームが他のジャンルと比較して飛躍している部分というのはあまりなく、本当に「ノベル」といったジャンルなのでシナリオ一本で勝負となるため、他のゲームジャンルと比べて1つの要素が尖っているジャンルだといえます。

3-4.手軽さの問題点

 日本人においてよく言われるのがプレイの手軽さです。どのゲームジャンルにも共通する話ですが、ノベルゲームもゲームである以上、時間を必要としますし、シナリオに没入するまでのユーザーと開発側の駆け引きも生まれてきます。終盤が面白くても序盤が面白くないものというのはユーザーからすると手軽さに欠けてしまうわけですね。もちろん序盤から面白い作品として世の中に発信するのは当然開発者側も考えるでしょうが、シナリオを売りにして出すゲームジャンルというのはなかなか難しい課題であると認識しています。結局ユーザーからするとノベルゲームというジャンルに対して没入するまでの時間や労力を必要とするため、気持ち的に億劫になりやすいという点があると思います。

3-5.開発元、メーカー目線で見てみる

 少し小難しい話も混ぜてみたいと思います。これはminoriがソフトウェア制作を中止した、という観点から少しだけ述べます。当たり前ですが、ノベルゲームというのはソフトウェアであり、普通にソフトウェアを開発するのと同じです。このソフトを開発する上で一番費用として掛かるのが人件費でしょう。正直これが7割、8割占めていると思っています。そして当然ノベルゲームの制作も簡単ではありません。会社やプロジェクトの規模によって左右されると思いますが、小さい規模で数人、普通に考えれば数十人、多ければ百人単位で更に会社間が協業して作るものと推測されます。つまりノベルゲームといえど開発コストがとにかく非常に高く、関わった人数や開発期間が大きければそれに見合った予算、売上、実績が求められるというわけです。人によってはRPGやアクションと比較するとそこまで複雑ではないから開発費用も少ないのでは?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。恐らく総額的な開発費用はそのようなジャンルと比べれば安価になるものともあると思われますが、人件費というのはジャンル毎に安くなるわけではないですし、人材やスキル能力に合わせた費用が求められます。個人の趣味範囲で開発するのであれば話は別ですが、企業が本気で予算を組んで開発、販売となれば一筋縄ではいかないのが世の常です。

3-6.私が好きなminoriの適当考察

 minoriはアニメ監督・新海誠さんが作品のOP映像を手がけていたブランドとなります。意外と知らない方いらっしゃったのではないでしょうか。(実は私も最近知りました)あくまで公式発表からの推察となりますが、会社の制作方針とユーザーの趣味趣向が合わなくなり、乖離が生まれてきたことによるユーザーのブランド離れが原因と推察されます。結果、売上が乏しくなり撤退した、と何となく解釈しています。恐らくminoriの場合はプロダクトアウトによる自分たちが想う最高傑作を世の中に発信することで売上や利益を出そうと掲げていたのでしょう。過去にefシリーズに至るまではそういった方針で実績を作ってきた会社だと思います。しかし1つの作品対してとにかく予算オーバーで開発コストを掛けてしまった結果、売れはしたものの利益が出ない、利益がでなければ企業存続の問題発生、仕方なく、利益を出す方針に切り替えなければいけない、しかしminoriの良さが損なわれる、など様々なジレンマに嵌ってしまって抜け出すことができなくなったのかなと大雑把な雰囲気として私は読み取りました。加えて時間経つにつれて業界的に売り上げが伸び悩む時期であったり、ソフトウェアの割れ問題といったものもあるのでここ数年は厳しい状況が続いていたのではないかなと思われます。


4.ノベルゲームの次世代の可能性をもつ技術要素
 

 最後に私が考える次世代の技術について2つ予想してみます。本当に私が知っている限りのお話ですので当てになりませんが・・・。

4-1.Live2D

 Live2D、あまり聞いたことない技術かもしれません。簡単に言ってしまえば、2Dの立ち絵にアニメーションを持たせて、少し立体的に動いているように見せるものです。Vtuberという存在がありますが、コンテンツの見せ方的には似ていると思います。3Dアニメーションとの違いは?何のメリットがあるの?という風に感じられる方も多いとは思います。最大のメリットは3Dよりも低コスト且つ2D絵1枚に対してにアニメーションを付けることができる点です。実際動作しているところを見てみると、自分の好きなキャラクターが立体的に滑らかに動作していることに感動、感銘を受けることができるのが強みです。また開発する上で難易度が3Dモデリングをするより簡単というところから今後も期待が持たれる技術要素だと思います。


4-2.VR /AR /MRによる新しいユーザーへの体験

 ユーザーにもっとも強い刺激を与えることができる要素といえば、現在皆さんも夢見ているだろうヴァーチャル的に視覚の部分で訴えることだと思います。冒頭でもお話した通り、新しい革命が起こったときにノベルゲームは大きく風呂敷を広げることができました。これはシナリオ一本に絞って開発重視できるという点があるからです。当然、視覚におけるユーザーへの体験は新しく開発しなければいけませんが、アクションやRPGといったゲームシステムまで複雑考慮する必要はなくなります。こういった意味でノベルゲームは先駆けできる、アドバンテージを持っているのではないかなと個人的には思っています。昨今、ただ映像をみせる、という観点だけでいえば実際にゲーム化されているコンテンツは存在するため、開発の難易度は高いにしろ、一般家庭に普及されるようになれば再びノベルゲームの革命が起こるのではないかなと予想しています。


5.まとめ
 

 今回は書きたいことをとにかく並べてみました。あまりこういった記事では良いものではないことは自負しているのですが、書いてみたいことをずらーと書いたので満足感だけは得ていたりします(笑)最後に2年前にminoriがソフトの制作中止されてしまったということでとにかく残念極まりないのですが、もしこのお粗末な記事を最後まで読んでくれた方がいらっしゃれば、efシリーズ、eden*などはぜひどの方にもお勧めできる作品です。PCやsteam版で購入可能ですのでぜひお時間あればプレイしてみてください。最後に今後もこのゲームジャンルが伸びる、発展していくことを願っています。


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