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「エロい」とは

この失言ののち、急に疑問が沸いた。

「エロい」とはどういうことなのか。
人は何をもってエロいということを感じるのか。

そして、早速彼に聞いてみた。
「エロいって、どういうこと?」

見た目?
声?
感度?
感性?
感受性?

彼の返答は「どれも相まってでしょ」ということだった。
まぁそうだよね、と思いつつ、返信の速さに笑いが込み上げてくる。

「でもさ、エロいっていい意味で使われないよね。」
ふと、頭の片隅にあったことが漏れ出す。

「そうかなぁ。バターのエロいところ好きだけどな。」
という返信に、なるほどと思った。

ふたりだけの空間でのその発言は甘いのだ。
けれど不特定多数でのそれは、悪口に変わる。
とわたしは感じている。

大学にいた頃、男子のグループにぽつんとひとり混じっていることはよくあった。
男子間で交わされる「あの女、エロいよな」から始まる会話を思い出す。
行き先は「すぐやれそう」であったり「彼女にはしたくない」であったり「誰とでもやってそう」であったりすることがほとんどだった。

そのとき作られた思い込みは、今もわたしの脳内に息づいている。

「エロいと大事にされにくい気がする」
漏れてしまった本音に
「大事にされるでしょ。だって今も会いたいもん。」
とすかさず返ってくる返信にあのときのわたしがふわっと抱きしめられる気がする。

大学の頃のわたしは、「エロい」といわれることはなかったと思う。
けれど、小学生から痴漢に遭い続けていた自分が「エロいのではないか」という疑念に苦しめられていたのだ。
だから、必要以上に自分自身に貞操観念を求めていた。

「エロい」の成分は五感なのだと最近思う。

視覚…見た目、顔、体型、全体の雰囲気、、、
聴覚…声、吐息、衣擦れ、各種液体から生じる音、、、
臭覚…体臭、香水、タバコのにおい、、、
触覚…肌や各種毛の感触、布の感触、各種液体の感触、
味覚…各種液体の味

五感を研ぎ澄ませて、相手を認識して丸ごと味わい合う。
味わうことと、味わわれること。
そういうことなのだと知ったのは最近かもしれない。

今まで頭ではわかっていても、特に後者を自分にゆるすことができないでいたように思う。

味わわれる感覚を味わい尽くすには、安心が必要。
安心には相手への絶対的な信頼が必要。
こんな単純なことが、意外と難しい。

好きだと、嫌われたくないと思う気持ちが働く。
その恐れは、安心からわたしを遠ざける。

彼との距離が縮まると、なぜか不安も大きくなる。
すでに解決したはずの心の問題がもう一度わたしの前に立ち現れる。
すると、彼がほんの少し遠ざかる気がする。

エロというのは、体だけなのかと思っていたけれど、体は心を映す。
当たり前のことだけれど、どちらもあってのわたし。

彼に触れられると、そこからじんわりと温かさが広がっていく。
その温かさは、離れても消えない。
メッセージを見れば、その温かさに包まれているような気がする。

こんなことを最近はじめて知った。

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