掲示板で出会ったひと はちにんめ⑦
唾液が美味しい。
そう感じるのは、身体の相性がいいということに含まれるんだろうか。
よくにおいが好きだとか言うけれど。
彼は忙しいらしく、そんなに頻繁には会えない。
なので、普段はチャットで会話をしている。
前回、彼はセックスを含めたコミュニケーションを通して、セラピーをしているようだと書いた。
澱のようなもの、がわかると彼がいうのを聞いたとき、わたしはこのひと本物だーと思った。
わたしが見えているものと同じものを見ている。
以前、こんなことを書いた。
背骨の前の会陰から頭頂まで、目には見えないがプラーナ管というものが通っている。
エネルギーというのは、そのプラーナ管を通っている。
心が傷つくたびに、その管の中には汚れが生じる。
深い傷の場合は、記憶とともに感情が汚れとなりプラーナ管の壁にへばりついて残る。
その汚れがたまっていくと、病として身体に現れてくる。
感情地図という考え方があって、感情の種類と身体の部位は紐づけられている。
では、この「澱」というのはなんなのかというと、この汚れの一種なのだけれど、中でも一際古い記憶と感情だ。
産まれたとき、あるいはそれ以前の記憶と感情が、子宮の湖の底にたまったもの、というのがわたしの考えだ。
そして、古い記憶ほど、アクセスするのは難しく、癒すのは難しい。
セラピストとすれば、高い能力が必要になる。
彼は、それがわかるといい、それをなくす方法を知っているといった。
わたしには時折見えるくらいで、コントロールは難しいと感じている。
自分でもあることがかすかにわかる程度で、どのようなものなのか掴めないので、なくそうとしてなくすのは難しい。
ヒーリングをしてもらうことはあっても、それが見える人はいなかった。
彼にはプロよりも高いスピリチュアル能力があるらしい。
いつもそれが起こるのは突然だ。
なんとなく、思ったことを言葉に出してしまう。
ねぇ、お仕置きして。
そう書きながら、なんか来たなとすぐに気づく。
彼の答えはいつも甘い。
言うこと聞かなかったらお仕置きだよ。
ちゃんと言うこと聞けたら、いっぱいご褒美あげるね。
怒られるのいやなのに、怒られたいの。
うんうん。
ちゃんと言うこと聞けなかったら怒るよ。
バターのしてほしいお仕置きしてあげるね。
この辺りで気づいた。
わたしは、お仕置きしてほしかったんじゃなく、お仕置きされるようなことをしても、きらわない誰かが欲しかっただけ。
怒られて、そしてそれでもゆるされたい。
わたしのこういう葛藤に彼も気づいていたとわかるのはこの後だ。
だめなこだなって思われたいのかも。
溢れ出したわたしの言葉への彼への返信は完璧だった。
だめなこだよね。
でも、そこが好きだよ。
どうした?悲しくなっちゃった?
という最後の言葉がだめ押しだった。
うん、あのね。
きらいにならないでぬ
と返した後、すぐに
ぬw
と付け加えた。
いつも間抜けなわたし。
ならないよ
ならぬw
と返してくるところまで、完璧だと思った。
澱を、ゆっくりゆっくり溶かしていくの。
流れると気持ちよくてふわふわでしあわせな流れになる。
それが、えっちなこと。
そう彼は言う。
誰でもよかったはずなのに、誰でもよくない。
このひとしかだめだ。
そう思えば思うほど、真っ逆さまに落ちていくような自分を必死で引き止める。
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