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ただ、どうしても今日は珈琲とプリンと共に読書をしなければならない、そんな日。

最近の、私にとってのささやかな楽しみ。

なんにも予定のない日曜日は、ドニチカを買って、まだ行ったことのない知らない場所に行くこと。ドニチカは土日限定地下鉄乗り放題のやつ。

この前は、なんとなく名前が気に入った駅で降りて、そこの川でひとりぶらぶらした。とっても良い川だった。川に足をつけて、本を読む。最近は川の水がとても心地よい。透き通っていて良い。少し涼しい風が心地よい。温度も良い。帰り際、人生で初めてカラスに襲われた。いつもインコのピヨが頭に乗ってくるけど、それとは力強さが違う。羽音に鳥肌が立った。鳥肌は立ったが、このカラスとはすぐに友達にはなれなさそうだ。邪魔してごめんね、カラス。

さて、今日は、その、なんにも予定のない日曜日の午後だった。ドニチカを買う。とある駅で降りる。どうしても、珈琲とプリンと共に読書をしなければ、そう直感が言っている。

本はなんだってよかった。喫茶店やカフェで読む本はなんだか特別だ。本を読むのが目的なのか、食べたり飲んだりするのが目的なのか、そのどちらもだ。欲張りだ。

路地裏にJAZZ喫茶をみつけ、入ろうとするが、窓から見る感じ本はなさそう。ただ、静かそうなおじいさんが口を結び珈琲を淹れていて、その姿と対照的に、常連らしきおばさま方がカウンターでおしゃべりをしているのが見えた。本を買ってきてここに戻ろう、と古本屋さんを探すことにした。

狭い店内に、本たちが立ちはだかっている。店に入っても、こちらに目もくれず、分厚い本をめくる店員さん。その無関心さが心地よかった。

私は昔から、本が背後にある、という状況にちょっとした怖さを感じている。本、というより、本がぎっしりと詰まった本棚だ。本には一冊一冊物語や誰かの考えが詰められていて、それなのに、たった1cm、2cmくらいの厚さになって、まるで一冊一冊が隠れているみたいに並んでいるという状況だ。いっせいに襲ってきそう。背を向けたくない。別に、本だし、開かなければ内容はわからないのだけれど、その一冊に、どうしようもないくらいの何かが詰まっているから。怖い。

話がそれたけれど、その古本屋でタイトルの気になった本を一冊150円で購入。店員さんが、目をみて「ありがとうございます」と言ってきた。ああ、素敵だなあ。ここにまた来ていいと、来たい、と思える。ありがとうございます。

先ほど気になっていたJAZZ喫茶に行こうとして、ふと、交差点のビルの階段を見上げてみると、目立たないがカフェらしき看板が。誘われるようにして、あがると、あっと驚いた。

店内が小物で溢れていた。照明がひとつひとつ違った。机の高さも、椅子のデザインも、違う。統一感のなさそうな小物たちでそろったその場所は、それら小物がすべて集まったその状態で、完成されていた。どこから集まってきたのか、みんなバラバラなのに。そのどれもが、ひとつひとつ、とてつもなく愛おしいものたちだったのだ。こんなに「愛しい」ばかりが詰まった場所は初めてだ。

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まるで、自分が小説の中の主人公で、運命の喫茶店に出会ってしまったような。はい。完璧。

置いてある本が素敵すぎた。一つ一つの本が、静かに、居心地の良さそうに、そこにいた。じっと、おだやかに、そこにいる。あたたかく、見守っている。

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さて、私は、ここに恋をしてしまったようだ。

角の席に座り、10冊ほどの本を開き、素敵な言葉に沢山出会った。

最初、私の入った時は私しかいなかった店内に、一人の凛とした女性、穏やかそうなカップル、仕事の面接にきたおしゃれな人たち、たくさんおしゃべりをする女性二人、入れ替わり立ち代わりで時間が流れていった。そして、私の帰る事には、一人目の女性だけが残っていた。

3時間ほど、ここにいたようだ。

ここに住みたいとも思った。

ふらっと、これるところに、こんな、私をすっぽりと包み込んでくれる空間があるとは。

あー、良い。珈琲もプリンもとてもおいしかった。

じんわり、ぴったり、良い日でした。

最後に、気になった本の言葉を貼っておきます。

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