シェア
kaunisupuu
2020年7月29日 08:00
「この子はわたし。わたしも探しに行かなきゃ。カイちゃんを。」彼女は分厚いアンデルセンの本を閉じながら思いました。春のある1日のことです。電話を切って、初めて彼が彼女にとって何者かを理解したからです。けれど手遅れでした。受話器は置かれ、繋がれていた糸はぷつんときれてしまつたのです。耳の奥に残っている彼の声は他に好きな子ができた、もう連絡しないという