それぞれの地獄

喉の奥をじりじりと炙られ、口から出そうになる汚いドブを慌てて飲み込む。「あんなの、大したものじゃない」と頭で必死に思おうとしても、目の前にあるキラキラと眩しい「それ」が自分のものならと、わがままな気持ちがお腹の底で喚き散らしている。

あなたは、「あの子になりたい」と、誰かに嫉妬の目を向けたことはなかろうか。

自分の地獄から抜け出そうと、周りのキラキラしたものに、嫉妬という脆くも、一回まとわりついたら離れない紐を巻きつけ、縋り付きたくなる気持ちはよくわかる。

辛かったね、周りと比べてくすんでいる自分が段々と「何もできない自分」に、そして「生きている価値がない自分」になっていく様を見つめるのは本当に辛い。

そう、これも全て周りのせい、周りの環境が悪いからだ。それに比べてあの子はお金持ちの家に生まれたし、留学だってたくさんしてる。自分よりも可愛いし、スタイルも良い。キラキラしているのは当たり前。あの子みたいになりたかったなぁ〜。

ねえ、それ本当に言ってるの?

そろそろ気づけば良いのに、自分が制限してるって。「自分はダメな人間で、何もせずに人生を終える」というゴールを設定してるのはあなただよ。誰も強制してないのに自分と周りを比べて勝手に落ち込んで、僻んで、攻撃して、周りを自分と同じレベルに引きずり落とそうとする選択をしたのはあなただよ。あなたの親でも、環境でもない。あなたが選択してしたこと、そして今もし続けていることの責任を、なんで他のものに押し付けるの?自分の地獄から抜け出すために、簡単に「誰かみたいだったら良かったのに」とか言ってみる。段々と、「あの子は環境が良かったから成功したんだ」とかも言ってみるようになる。嫉妬の紐を辿った先に、壮絶な地獄があることも知らないで。

そのキラキラしたものにしか見えない地獄がある。あなたにも地獄がある。そして、きっとあなたも誰かにとってのキラキラしたものだ。

自分の中から、「自分と向き合う覚悟」を見つけて、一緒に進もう、一歩ずつ。



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