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今日もアーケードにいます

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2021年7月の記事一覧

第27話:後悔

さっき、「花売り場の人!」と 突然呼ばれて ふと顔をあげると、 アーケードの真ん中に立って 団扇をあおいでいる人が こちらをみて、笑っていた 夏は花が売れません。 ☆☆☆ かき氷をつくる機械、 あるうちとないうちがあったでしょう こうゆう風に突然話が始まるお客が 何人か話しかけてくるだけ 今日売上表に 来客数1 とかいて 真っ暗になったアーケードを 見渡してみると 向かいのケーキ屋さんから 小銭を数える音が きこえた 売り上げた小銭が入

第26話:昔のはなし

昔、わたしはこどもだった どうゆう子供だったかというと 少し変な言い方かもしれないけれど お面をかぶった子供だった お面をかぶってみなといったのは 誰だったかな、すごく変な言い方をすると オトナの中のオトナたちだった 飴がきらいだった 水の中に入るのが、こわかった おまんじゅうを、手べずに、ポケットにいれたまま、走り回っていた でもずっとお面をつけたままだった 花の名前も知らなかった 今日、アーケードで花を買った人はたったの8人だった。 両替をせずに

第25話:佐々木さん②

ランチタイムの灯し火がアーケードを照らしている 花屋に並んだブーケを、すっと掴んで、 アーケードを走り抜ける佐々木さん。 佐々木さんは、昔とてもいい子だったんだそう。 中年と呼ばれるようになってから、 眉毛を全部、剃ってしまった。 はえてくるのは、生きのいいわかめみたいな、艶のある、毛だった。 夏になると、草木をどっさり入荷して、 切り花コーナーの 一番高いところに飾る。 本物の木が 大きく枝を伸ばしたような恰好になっている。 佐々木さんが戻ってきた。

第24話:佐々木さん

「佐々木さん」 呼ばれた声に振り向くと、眉毛のない人が立っていた。 腰を上げて、レジの中に入ると その人がうしろからついてきた。 新聞紙にくるまった五十本のカーネーションを 台の上に置いて 作業しているわたしの手をみて 「元気だったあ、どうかな、はなしかけてみようかな、って、思って、こうしてるんだけど、ずいぶん長いことお家あけてたみたいだから」 腐っていいるはっぱを取り除いて、一本一本裸にしていく。 アーケードのランチタイムが始まった。 放送の中に、ときお