タカイトコロ

 最近話題の「ウマ娘」をようやく見始めた。アプリではひと口齧った程度の知識だったので、ストーリーに関してはほぼ無知の状態。いざ見てみると内容は思ったよりもシンプルというか、とても分かりやすいし絵も綺麗で見応えがある。
個人的に何よりも一番の見どころだと思っているのは、ウマ娘たちのレースシーンだ。

 俺は小学三年生から高校三年生まで陸上競技をしていた。汗水を流しながら一生懸命練習をして、大会の日にその全てを出し切る。陸上は基本的に個人種目で、言うなれば己との戦いだ。その結果、新記録が出たら嬉しいし、次も頑張って練習しようというモチベーションにも繋がる。

 ウマ娘たちのレースを見ていると〝今までの俺〟を思い出す。
目標のために一生懸命努力して、その結果を出し切ろうという熱い気持ちを胸にスタートラインに立つと、何故だか急に不安な心もじわじわ込み上げてくる。隣には如何にも強そうな相手がいて、仕舞いには足まで震えてしまう。でも周りを見てみると自分を応援してくれる人が沢山居て、気付けば震えは収まり、不安な心は寧ろ「これからレースが始まるんだ」という期待に変わっている。そしてスタートの合図で一斉に飛び出し、ただひたすらにゴールを目指して、表彰台という高いところを目指して必死に足を回すのだ。

どれだけ苦しくても足を止めるな。腕を振れ。下ではなく前を見ろ。
彼女たちの燃える想いが、俺の心までも熱くさせる。

 応援の声というのは多くの人が思っているよりもかなり重要である。レース中に苦しくて失速してしまいそうになった時に「頑張れ!」というその一言だけで踏ん張れるからだ。それも不思議なことに、相手の選手の応援も混じっている中、自分に対する声だけは鮮明に聞こえてくるのだ。これは嘘ではなく、俺自身も何度も経験している。 
 きっとレース中のスペシャルウィークにも、スピカのみんなの声援がはっきりと聞こえているのだろう。

 
 いつかウマ娘を育てるトレーナーの話を書いてみたい。陸上競技というウマ娘たちと似たようなスポーツを経験している俺だからこそ書けるような話を。

 

今回の日記のタイトルは、高校三年生の時にレース直前まで聴いて士気を高めていた曲だ。何かを成し遂げたい時や、挫けそうな時に是非聴いてほしい。