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「お金の話はタブー」が日本にもたらしたもの

子どもの明るい未来を考えるとき、避けては通れないのが「お金のこと」。

正しいお金の知識・態度・判断力を持たないまま大人になり社会に出たとして

いくら勉強の成績がよくても、スポーツに万能でも、性格が良い子に育っても

経済面で正しい知識を持って正しい行動ができなければ選択肢が大幅に狭まってしまうことは、私たち大人はよく知っているはずなんですよね。

知っているはずなんだけど、お金のこととなると特に心理面で積極的になれない...

というのが、多くの日本人の心ではないでしょうか。

私もお金の知識をつけるまではそうでした。


私の父は銀行員だったので、比較的お金の話は身近だったとは思うのですが、私自身はしっかりした知識がないまま成人しました。

そして、金融のことは経済学や経営学を学びたい人だけが学ぶものと思っていたんです!


小さい頃、お小遣いはもらっていたけど、その日に駄菓子屋さんでうまい棒とか5円玉チョコとかを買う分をもらっていたくらいで、正直、金融業の父でさえ、子どものお金の教育には全く重要性を感じていなかったと思います。。。

そういう社会だし、そういう時代だったから。

当時ついていたスキルといえば、駄菓子屋に持っていった手のひらの小銭で、いかに多くの欲しいお菓子を買うかといったことくらい。ビックリマンチョコを買って他のものが買えなくなっていた弟と量で競ったりもしていました^^

今思えば、これはお金の活用能力を養うというよりは算数スキルですね。。。


二十歳のある日、京都の街中を歩いていて声をかけられた美容部員に、私の顔のシミそばかすをひどく指摘され、支払いがいかにも簡単そうに見える表を見せられ。。。

自分の顔に自信を失い、自己肯定感が爆下がりした私は、感情に支配されて一気に視野が狭くなったんです。これなら「アルバイト代で支払えそう」という錯覚を起こし、危うく二十歳にして必要のない高額ローンに苦しむ寸前のところまでいきました。

いざこざを経て母に助けられ、ことなきを得たのですが、その後でも、母が私にローンについて教えることはなかったんですね。


ローンの利子が雪だるま式に増えるカラクリを、2022年からは日本の高校生も学んでいくことになりました。(教育要綱をよく見ていないのでわからないのですが、基本中の基本なので、必ず学ぶはず!!)

ただ、感情が思考を支配すると、お金の活用能力が下がることまでを、学校教育の中で教えてくれるかどうかは、正直私はわかりません。

ですが金融教育の義務化は、百利あって一害なし。

本当に良い流れだと思います!

あと数年したら日本の金融教育も低年齢化が進むと思いますが、

できれば教科書を使って「勉強としてお金のことを学んでしまう」前に、

子どもたちには家庭内で実体験を先に十分に積み上げていてほしいです。

お金のことというのは生きるために必要なことなので、
一教科として捉えてほしくないし、金融用語などにこだわりすぎて、難しいと感じてしまったら元も子もないからです。

本来の金融教育の目的から外れてしまう可能性もあります。


先ほどの、「感情が思考を支配すると、お金の活用能力が下がる」

これは人は実体験からしか学べません。正確には、教科書や机上の勉強で知識としてわかっていても、実生活ではなかなか活かせないんですね。

だから、家庭内の生活の中で、お金に関する成功や失敗の実体験を積むこと、

その成功や失敗が自分の気持ちとどう関係があって、それが自分の行動とどう関係があったかな、

というところまでを「体験」しておくことがすごく大事なんです!


「お金の話はタブー」が日本にもたらしたもの

日本の金融庁が2019年にホームページに公表した「人生100年時代における資産形成」という資料の中の、日本・アメリカ・イギリスの資産形成のグラフによると、

なんとマクロで見るアメリカ国民の家計金融資産の増加は、20年間で、日本国民の家計金融資産の増加の約2倍

人生100年時代における資産形成

アメリカ・イギリス・日本の家計金融資産の伸び率比較


2つの資料を見ると、アメリカ国民の家計金融資産の伸びは運用リターンによるものが大きいことがわかります。

アメリカ・日本の資産形成と金融資産額の推移

アメリカの金融資産は20年間で8倍強に増加しているのに対して、日本の伸びは2倍。

ではもう1つ、別の角度から見ていきます。

内閣府ホームページが公表している「日本の若者意識の現状〜国際比較からみえてくるもの〜」によると

13歳から29歳に調査した 日本の若者意識の現状 では「悩みや心配ごと」のカテゴリーでの回答で一番多かったのが、『お金のこと』『将来のこと』

働くことに関する不安 13歳から29歳の1134名が回答


このように、政府が発行しているデータを見てみると

アメリカやイギリスと比較しても、20年間の家計金融資産の伸び率は小さく

若者が抱く不安の上位2つが「老後の年金はどうなるか」と「十分な収入が得られるか」というお金に関する不安

そうすると、「お金の話はタブー」という文化が、結果的にもたらしているものって何だろうっていうことになりませんか?


例えばお金の話をタブーとする文化が美徳で素晴らしいとして、

その美徳を押し通した結果、若者の将来の経済的不安が少なく、家計金融資産が他国に比べて同じように拡大しているならば良いですが

未来に経済的不安を抱える若者を増やし、それが少子化につながる大きな要因となって、国家が縮小していく問題を抱えることになっているなら、


「お金、お金というのは卑しい」というようなタブー視する文化は、果たして良いことなのか?と私は思うのです。


もちろん要因は1つではなく、日本の金融構造上の問題も無視はできませんが、

その金融構造の問題が変わらない背景に、「お金を増やすことを追求するのは卑しい」という多くの日本人の心が影響しているかも?と考えてみる視点は大事だと思うんですね。


過ぎた20年は、やり直そうと思ってももうやり直せない。でも未来は変えられる。

私たちの意識と行動が変われば、未来は変えられる。私たちの子どもたちが生きる未来社会を「縮小」ではなく「拡大」させられるのは、私たち大人の「今の意識と行動」。そう思ってやまないです。


以上、

お金に対する『考え方』や『態度』が、いかに個人/家計の経済状況に影響するかというのをお伝えしたくて、データを見ていただきました!

アメリカやイギリスは、お金に対する考え方がオープンかつ積極的です。

私にはアメリカ生まれ育ちの8歳の子どもがいますが、5歳ごろから学校でお金の教育に触れていますし、現在、現地小学校の3年生の授業では、エコノミーのこと家計のことなど、かなりしっかり習っています。

やっぱりお金のことはタブー視するのではなく、子どもたちには、お金のことと正しく向き合い正しい知識や態度を身につけることは重要であるというメッセージを私たちの行動を持って伝えるべきではないかと思うのです。

より良い社会『子どもたちが安心して生きられる社会』のために、

しっかりとしたファイナンシャルリテラシーを身につけ、主体的に行動していくのが大人の務めではないかなと思っています!

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