【ショートショート】バイリンガルギョウザ#毎週ショートショートnote

　ボクたちは突然、賑やかな世界に連れ出され、体が温まっていく。そして、先ほどまでは暗くて寒い場所で6人並んで眠っていたことを思い出した。

「オレたちももうすぐだな。短い人生だった」

　隣にいたグループの1人が呟く。ボクは思わず問い返した。

「これから、焼きを入れられるんだよ。その後、帰ってきた者はいない」

　言い終わると同時に、隣のグループが連れ去られる。あ、と思った瞬間ボクたちの体もふわりと上がった。

　次に下ろされたところは灼熱の大地。体が温まり、身が引き締まる。生まれ変わったような心地だ。

　つるつると滑りそうな地へ降り立つと、すぐに一番端の人が脇腹を2本の棒で挟まれる。そのまま大男の口へ吸い込まれた。

　その隣の脇腹へ棒が差し込まれる。

「ボ、ボクなんて食べても美味しくないよ！」

　その隣へ。

「我不好吃!」

　さらにその隣へ。

「I’m not tasty!」

　さらに

　僕は箸を止め、睨む。

「その餃子の実況、やめてくれない。食べにくいよ」

　彼女は無言でにやりと笑った。

（４１０字）

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前回に引き続き、たらはかに（田原にか）様の企画に乗っかっています。

今回のテーマは「バイリンガル」「ギョウザ」。
……ほんやくコンニャクみたいなものでしょうか。

今週のテーマが発表された直後から、note内に餃子の画像が溢れ、飯テロを食らっています。ここ一週間で餃子食べた人、挙手（笑）