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【ショートショート】感想文部#毎週ショートショートnote

 もうすぐ夏休みが終わる。

 濡らしたタオルで首元を拭きながら感慨深くカレンダーを見つめる。このところ家にも帰れず体が汗臭い。

 毎年この会社は6月から8月まで夏休み応援特化事業が立ち上がる。夏休みの宿題を外注する家庭は年々増えているのだ。

 ドリル部は例年順調にこなし、日記部はクライアントへの貼りつき取材のため姿を見ない。自由研究部は誰もが嫌がる部署だ。この2か月は不夜城と化し、心身ともに疲弊し、産業保健師が音を上げ、退職者が続出する。そこに比べれば、俺のいる感想文部はまだマシだ。

 ペコペコと頭を下げていた部長が電話を切ると、俺の名を叫んだ。

「峰倉様からだ。お前、牛の乳しぼり体験を書いたそうじゃないか。あの子、動物アレルギーだぞ。今すぐ全部書き直せ! 明日の昼までの納品厳守だからな。わかってるだろうが、コンクール受賞コースだ。気合い入れろ」

 俺は覇気の無い返事をして、濡れたタオルを被り机に向かう。

 宿題なんて無くなればいいのに。

(410字)


前回に引き続き、たらはかに(田原にか)様の企画に乗っかっています。


今回のテーマは「感想文」「部」。

「部」は部活の部かもしれませんが、先週に引っ張られて会社にしてしまいました。

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