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【ショートショート】伝書鳩パーティー#毎週ショートショートnote

「では、今期の最飛翔距離賞のジェイク、どうぞこちらへ」

 大歓声の中、ジェイクがムキムキの鳩胸を強調して登壇する。

「俺、今回はいけると思ったのにな」

「そう悔やむなよ。どのルートに当たるかだろ。運だよ運」

 俺の背を、ケビンがポンと羽で叩く。同じ皿のポップコーンをついばんでいた新人が、目を輝かせてジェイクの話を聞いている。

「聞いてくれよケビン。俺の得意先のお嬢さんはさ、兵隊に毎日手紙を書くことだけが生きがいなんだよ。それがある日兵隊が死んじゃったらしくてさ。その同僚とかいう人が、代わりに手紙を受け取ってくれるようになったんだけど、なんか俺いたたまれなくてさ。今まで往復していた手紙が一方通行よ。お嬢さん、すごく寂しそうでさ。俺に訊いてくるわけよ。でも俺がお嬢さんに伝えるわけにいかないじゃん。ただの伝書鳩がさ」

 グイッと発酵果実をあおる俺に、うんうんと頷きケビンが言う。

「辛いな。人間もさっさと戦なんて止めちまえばいいのにな」


(410字)



一週休んじゃいましたが、前回に引き続き、たらはかに(田原にか)様の企画に乗っかっています。

今回のテーマは「伝書鳩」「パーティー」。

今どきの子(じゃなくても)、伝書鳩なんて単語、一生で一度使うかどうかじゃないでしょうか。

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