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ととちゃん
2020年2月15日 17:11
さおりさんの休日の朝は、僕の30分ぐらい前からはじまる。すっと布団からでて、軽い足取りで遠ざかっていく。向こうのほうで水のでる音がする。そのうち僕はまた夢の中に帰っていく。もう一度僕が目を覚ますとき、香ばしい匂いが部屋を包んでいる。彼女は決して「ご飯できたよーー!」なんてかわいい起こし方はしない。ボリボリと食パンを頬張りながら、「あら。起きたのね」と声をかけてくる。僕は、寝起き早々からご飯
2020年2月8日 18:25
僕とさおりさんとの生活は、例えばふかふかの絨毯の上で片足立ちをしたり、赤提灯のラストオーダーみたいだったりする。ふわふわで、とろんとしていて、いつ倒れてもおかしくない、不思議な時間だ。 10個の歳の差は、恋をしていると感じないけれど、生活をしていると感じてしまう。落ち着きも諦めも、日々の柔かな喜びも、さおりさんはとても上手くこなしていた。 僕が彼女に惚れている理由は、あげればきりがない