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⑦温度管理

発酵の工程においてもっとも重要なのが、温度管理です。一般的に、ラガーイーストであれば約9~15℃、エールイーストであれば約15~25℃の状態で発酵させることが、美味しいビールをつくる上で不可欠です。特にラガーイーストは温度に敏感ですので注意が必要です。 エールイーストであれば、日本の場合、気温が20度前後となる春や秋には、温度変化の少ない場所で発酵させれば、温度管理はほとんど必要ありません。冬場であっても、鉄筋コンクリート造のマンションなどで比較的温度が下がらない場所であれば、それほど温度管理は難しくありません。しかし、ほとんどの住宅環境下では、夏場と冬場の温度管理が必要になるでしょう。 また、ここでいう温度とは、外気温度ではなく、ビールの液温のことです。液体は外気温度に対して、冷えにくく、温まりにくいのも特徴です。その為、外気温がそのまま液温になるわけではありません。


温度計(室内・室外)

どのような方法で温度管理をするにしても、温度を正確に知ることが重要です。室内・室外温度計は、室内の温度と、室外(発酵容器の温度)の最高・最低温度を自動で記録するものが多く、外出時にも、発酵容器がどのような状況下であったかを知ることができます。

サーモスタット

温度管理を、冷蔵庫やヒーターなどの電気器具で行う場合には、温度か高くなりすぎたり、低すぎたりすることがないよう、一定の温度に保つ必要があります。そのような時には、サーモスタットを使用すると便利です。電気器具の電源をサーモスタットにつなぎ、サーモスタットを経由して電源を取るようにします。サーモスタットには温度計が付いていますので、温度に応じて、電源の入/切を自動で行います。

サーモスタット

夏季の温度管理

1.バスタブなど大きめの容器に水をいれ、発酵容器を浸ける
夏場いくら暑い日でも、バスタブにはった水の温度は、直射日光にでも当たっていない限り、それほど極端な温度上昇はありません。ですので、アイスパックや、水を入れて凍らせたペットボトルなどを使って温度調節をします。ただし、バスタブを常時使用することは難しい上に汚染のリスクがあります。また大きめの容器も場所をとりますし、家の中で使用するのには限度があります。

2.保冷・保温バッグ(またはクーラーボックス)を使う
発酵容器がスッポリ入り、発行容器以外のスペースが確保できる、密封タイプの大きめの保冷・保温バッグを使用します。その他、特大のクーラーボックスも使用できます。条件にもよりますが、19ℓの発酵容器に対して、凍らせた2ℓの発酵容器を1つ入れた場合、2~3℃ほど温度が下がり、2つ入れた場合には約5℃ほど下がります。その他アイスパックなども利用できます。温度調整が条件によりかなり変りますので、定期的な温度管理と調整が必要になります。

保冷バッグ

3.冷蔵庫とサーモスタットを使う
温度管理がしっかりでき、一番楽なのが、冷蔵庫とサーモスタットを使用した方法です。一旦設定してしまえば自動で温度調節をしてくれますので、後は発酵を待つだけです。もちろん、最高・最低温度の確認は毎日行います。費用がかかるのが難点ですが、リサイクルショップなどで売っている、安価な中古冷蔵庫であればそれほどかかりません。発酵容器が入る大きさで十分です。大きなワインセラーなどを使えば、サーモスタットは必要ありませんが、値がはるようです。

冬季の温度管理

1.保冷・保温バッグ(またはクーラーボックス)を使う
夏季の温度管理で使用した、保冷・保温バッグをそのまま使用できます。アイスパックなどで冷やしていた代わりに、湯たんぽなどを入れて保温します。

2.電気毛布・ホットマットを使う
電気毛布を発酵容器に巻いたり、ホットマットを発酵容器の下に敷いた上で、毛布をかぶせるなどして温めます。温度調整をきちんとしないと高温になってしまうので、サーモスタットなどと併用したほうが良いでしょう。電気器具を使う場合には、火災に注意します。発酵中のビールがエアロックから吹きこぼれたりすることがありますので、防水のものが好ましく思います。また、保温バッグやクーラーボックスとの併用も選択肢に入れます。


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