見出し画像

「スラップファイト3671」開発日誌 Beep21出張版 #0

メガドライブの傑作シューティング「スラップファイトMD」の続編登場!! サウンドは「あの人」も含めて最大8人参加予定!?

それは、2019年10月にマインドウェア代表・市川幹人氏のTwitterで、突然しれっと発表された。

この「スラップファイト3671」なる新作、これ以降は具体的な進展がしばらくなかったのだが、市川氏から編集部あてに「いよいよ具体的な発表が近づいてきた」との連絡があった。何やらクラウドファンディングを行うとか、有名なサウンドクリエイターが4名以上参加するとかしないとか!? そんな新作の話はもちろん、せっかくなので「スラップファイトMD」の開発経緯や、あの当時のセガプラットフォームでの開発経験なども合わせて、市川氏ご本人に直接聞いてみることにした。

【市川幹人 (いちかわ みきと)】1971年3月6日生まれ。高校時代に電波新聞社や日本ファルコムでプログラマーのアルバイトで腕を磨き、1987年にMNM Softwareを設立。X68000版「スターウォーズ アタック・オン・ザ・デス・スター」、メガドライブ版「A列車で行こうMD」、PC9801版「ジャンプバグ」、Wii版「カタチのゲーム まるぼうしかく」などを手がける。現在はSteam向けに「宇宙最大の地底最大の作戦」や「平安京エイリアン」など名作のリメイクを毎年数本リリース。ピンボール台の輸入・メンテナンス業務なども行っている。1995年にマインドウェアへ社名変更。

メガドライブ版「スラップファイトMD」、本命は「究タイ」だった!?

――「スラップファイト」の新作をマインドウェア社で作るとのことですが、まずはメガドライブ版「スラップファイトMD」について聞かせてください。
市川 当時、「究極タイガー」がとにかく大好きで、これをぜひメガドライブに移植したい!と思い、荻窪にあった東亜プランまで行ったんです。確か1989年ごろだったと思います。でも、いざお話をしたら「メガドライブへの移植は決まってしまった」とのことで……。ガッカリしていたところ、「代わりにコレとかどう?」と提案いただいたのが、「スラップファイト」だったんです。

1986年に東亜プランからアーケードでリリースされた縦スクロールシューティング「スラップファイト」の移植作がこのメガドライブ版「スラップファイトMD」だ。(1993年6月11日発売/8メガカートリッジ)。販売元はテンゲン、開発元はMNM Software。当時の価格は7,800円であったが、2022年1月現在、このメガドライブ版は中古価格が4万円弱とかなり高額なレアソフトとなっている。 ©TOAPLAN Co., Ltd. ©TATSUJIN Co., Ltd. MUSIC©YUZO KOSHIRO


スラップファイトMD」には2つのゲームモードがある。1つはアーケード移植の「NORMAL」。黄色い★を集めることで、サイドショットやレーザーなど、いろいろな武器を装備することができる。本作はメガドライブミニにも収録されている。

――メガドライブ版には、オリジナルのスペシャルモードがついていましたね。
市川
 当時ならスペシャルモード単品で販売してもいいくらいの出来だったと思います。これは「どうせなら新しいゲームモードも付けたいです!」と東亜プランさんに相談して実現したものでした。ただ単に移植版を出しました、というものでは何か物足らない気がして……。アーケードの移植作品は当時いっぱいあったので、少しでも差別化したかったんです。まだ高校を出てすぐの18歳だったので、若さゆえの「俺がもっと面白くしてやるんだ!」みたいな勢いがあったのかなぁ、と。その結果、当初8カ月で開発する予定が、延びに延びて4年もかかってしまいました。

――4年も…。ちなみにメガドライブ版のサウンドは古代祐三さんですが、これはどういった経緯で?
市川
 古代さんとはオファーというよりは普段の会話の中で「今度、東亜プランの「スラップファイト」をメガドライブに移植しているんですよ」なんていう話をしていたら「おお!いいねぇ!俺が曲を書いてやるよ」みたいな感じで決まりました。結果、それで最高のサウンドをいただけてよかったです。

もうひとつのゲームモードは「SPECIAL」で、こちらはメガドライブオリジナルステージの宇宙空間編。このモードのみ、タイフーンボンバー(パワーウイングをひとつ切り離してボムになる)が使用可能。音楽を古代祐三氏が担当したことも大きな話題となった。

――セガのプラットフォーム(メガドライブ)で関わったタイトルは他に何が?
市川
 リリースされたものでいえばメガドライブでは2本。「A列車で行こう MD」「ベアナックルⅡ」ですね。「A列車~」はほぼひとりで作りました。発売されなかったタイトルだと、じつは「スラップファイトMD」と平行して東亜プランさんの「ダッシュ野郎」のメガドライブ版も開発していました。移植度もかなりよかったんですが、お蔵入りになってしまいましたね。発表だけはされていて、当時雑誌にもタイトルは載っていたはずです。また同時期に「飛翔鮫」のメガドライブ移植もオファーがあったんですが、これは手が回らなくて断ってしまいました。今思えばやりたかった……。「ダッシュ野郎」より先に「飛翔鮫」が来ていれば、絶対にやってましたね(笑)。

メガドライブ版「A列車で行こう MD」(1992年4月10日発売/6,800円/4メガカートリッジ)。MNM Softwareが開発し、セガより発売された都市開発シミュレーションゲーム。オリジナル作品は、1985年にアートディンクから発売されたパソコン版(PC-9801など)。 ©1989/1991 ARTDINK All rights reserved. REPROGRAMMED GAME ©1992 SEGA

新作「スラップファイト3671」について

――今回の新作「スラップファイト3671」ですが、これはどういう新作なのですか?

ここから先は

3,965字 / 3画像

各マガジンの通常価格の単品合計が2,980円のところ、こちらの一気読み超全部入りパックだと2,480円で買うことができます。4つのマガジンの総文字量は120万文字超!新書10冊分近い大ボリューム!永久保存版アーカイブとしてぜひ!

21世紀に奇跡の復活を遂げた『Beep21』の2021年〜2022年の記事すべてを一気に読める超お得なパックがこちらです!『Beep21』…

単品販売はそれぞれ500円ですので、初めて『Beep21』を買う人には、こちらがちょっとだけお得で便利です。一度購入すれば、この後追加・更新されていく記事もすべて追加料金なしで読むことができます。他では読むことができない大ボリュームの記事の数々をぜひお見逃しなく!※1号か2号をすでにお持ちの方は同じものですので、買わないようにしてください(単品でご購入ください)。

好評発売中の『Beep21』の創刊1号と2号を一気に全部読める、ちょっとお得なワンツーパックです。今から一気に創刊1号と2号の全部の記事を…

単品販売はそれぞれ500円ですので、初めて『Beep21』を買う人には、こちらがかなりお得で便利です(1号あたりなんと40円引きです!)。一度購入すれば、この後追加・更新されていく記事もすべて追加料金なしで読むことができます。他では読むことができない大ボリュームの独自記事の数々をぜひお楽しみください!※1号か2号をすでにお持ちの方は同じものですので、買わないようにしてください(その場合は単品でご購入ください)。

好評発売中の『Beep21』の創刊1号・2号・3号の記事を全部収録した全部入りトリプルパックです。今から一気に創刊号から3号まで全部の記事…

創刊号を購入したあとは、記事が追加されてもそのまま追加記事を読むことができます。Twitterで投稿したコメントに対してはクリエイターや漫画家先生たちご本人から、定期的にコメントをいただく予定です。500円はコンテンツ対価以上に、往年のファンの集まる場所への「入場料」のようなもの。ぜひ『Beep21』でクリエイターや漫画家先生たちと、より身近な距離感を楽しんでいってください。

伝説のゲーム誌『Beep』が2021年に21世紀仕様になって帰ってきた! その名も『Beep21』 歴代のスタッフが集結し、あの時の話を …

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?