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【ジャズ】イントロ/エンディング、暗黙の了解

先日ジャズセッションで「イントロとエンディングが難しい」という話をしてて、たしかにイントロ/エンディングには暗黙の了解とか「普通はこうやる」があり、それらが知られていないと感じています。

ここから先、ざっくりしたメモです。
もうちょっとまとまったら系統立てて書きたいです。


イントロはテンポを出すのが仕事

イントロの最大の役割は曲のテンポを出すことです。言い方を変えるなら、メロディを始めやすくセットアップすることが目的です。


決めるとき、決めないときがある

イントロ/エンディングを予め決めておいて始めるセッションは普通にあります。これはホストの好みみたいなところかもしれません、つまり参加者にとって快適なセッションにするための心遣いのような意味合いで「これで行きましょう」と道筋を提案してやるのですね。
その際、参加者のレベルを見ながらより快適な提案をしていくことになります。イントロだとカウントインが、エンディングだとリットが一番簡単だと思います。

逆に決めないことを楽しんでやるセッションもあります。これには2つ理由があると思います。
1つは初対面など親しい間柄でない関係の参加者に専門用語が通じないかもしれないから、分かっている人が引っ張っていけばいいという考えがあるからです。「最後は逆順でいきましょう」と提案して、ダイアトニックコードの理屈から説明しなきゃいけないとなると大変です。あるいは「逆順(ⅢーⅥーⅡーⅤ)」であっても、それぞれがマイナーなのかメジャーなのかは意見が分かれていたり、曲がメジャーキーなのかマイナーキーなのかでちょっと変形したりするので、経験や知識の差が出やすいのですね。つまり、提案しても通じない場合があるので決める意味がないケースがある。

2つめの理由は、むしろイントロやエンディングの探りっぷりを楽しむという考え方があります。誰がリードするのか、メロディをとる人がどっちへいくのか、ドラムやベースはどういう流れでいこうとしているのかを楽しむのも、ジャズセッションの面白さだからです。

イントロ/エンディングを決めるにせよ決めないにせよ、参加者の知識や演奏能力は始めるまで分からないことが前提ですし、知らないからダメだとか下手だから来ないでとか言いたくないので、結論は「ホストが上手くリードして頑張る」が最適解になりがちです。


コード進行型(イントロ)

テーマのコード進行をイントロに使うパターンです。

①短い曲は最初から最後まで使う、ただしメロディは使わない
 ブルースや8〜10小節くらいの短い曲は頭からコードだけ弾くと入りやすいイントロになります。ただしメロディのモチーフを使ってしまうとメインテーマが始まったと勘違いされがちなので、あまりテーマメロディに寄らない方が親切です。
②最後の4〜8小節を使う
 16小節、あるいはAABAな構成の曲は最後の4小節、8小節をイントロに使うことが多いです。その場合、ちゃんとターンバックっぽいコード進行で頭に戻るようにするとより親切です。

このパターンも、最初からテンポを出すのか、最後の2小節だけテンポを出すのか、などの選択肢があります。どちらにせよ曲のテンポを出すのは必須です。


カウントイン(イントロ)

なにかしらテンポを出します。メロディが始まります。一番簡単です。
口でカウントを出すときはキレよく発声しないとフワッと始まってしまいます。


ソロ型(イントロ)

イントロソロのパターンも少なくないです。ソロ型は管楽器でもイントロが出せるという利点があります。もちろんピアノやギター、ベースがやる場合もあります。基本的にはやる曲のコード進行を使ってソロをとりますが、その限りではありません。

①コーダルなソロ
 コーダルなソロをとることでコード進行型イントロと同じ効果を発揮します。コード進行が周りも分かるソロが取れるならチャレンジするといいでしょう。
②ルバートソロ+カウント
 ルバートで好きなようにソロをとった後、カウントを出して始めるパターンです。メロディがアフタクトで始まる場合はそこでテンポを出したり、ちゃんと「1、2、3、4!」と言葉にして出したりします。
③ルバートソロ+コーダルなソロ
 ゆったりとルバートソロで始まった後に①につなげるパターンです。

繰り返すようですが、イントロは参加者にテンポと頭を知らせるものなので、そこが明確になるならば親切ですね。


ヴァンプ型(イントロ/エンディング)

Vamp、すなわち一定のコードが続くパターンです。2〜4小節を繰り返すのが一般的です。またヴァンプ型イントロで始まった場合はエンディングも同じヴァンプになることを想定しておくと良いかもしれません。

①トニックヴァンプ
曲のメイントニックを使ってリズムを出すパターンです。
例えばキーがFなら、F B♭/F C/F B♭/F のようなコード進行を繰り返すようなやつです。あるいはボサノヴァならF G♭ を繰り返すものもトニックヴァンプと考えていいでしょう。
②ドミナントペダル
 V7やⅠ7など、ドミナントトニックを引っ張ってリズムを出すパターンです。イレギュラーなコードを使う場合もありますが、頭に戻るタイミングさえ分かればOKです。
③コード進行ヴァンプ
簡単なコード進行を繰り返すヴァンプもあります。リズムチェンジ(Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴなど)やⅣ-Ⅲmを繰り返して、合図でテーマメロディに入ります。


エンディングの基本パターン

ジャズセッションのエンディングもイントロ同様、パターン化されています。
特に最後の4小節で分岐が発生します。どんなルートがあるのかを列挙してみます。

①逆順
メジャートニックのⅠで終わる曲は、ⅠをⅢ-Ⅵに変えてからⅡ-Ⅴ-Ⅲ-Ⅵを繰り返します。一般的には3回目をⅡ-Ⅴ-Ⅰにして終わりますが、回数や解決先は流動的です。
Ⅴ-Ⅰの5度進行でなくⅤ-Ⅲに向かうことから5度の逆に行く循環コードなので逆順、と僕は教わりましたが諸説あるようです。
②ヴァンプ
前述の通りです。
③トニックブレイク
ⅠあるいはⅠmでブレイク(止まる)して終わるパターンです。ブレイク後に同コードを伸ばして終わるパターンと、そのまま終わってそれっきり!のパターンがあります。
古典的なビッグバンドの終わり方を模している人が多いようなので、カウント・ベイシーやグレン・ミラーなどを聴くとイメージがつきやすいかもしれません。
④リット(リタルダント)
最後の数小節でテンポを落としていくパターンです。誰にでも分かりやすいので迷ったらこれ。コードはリードシート通り進むのが一般的です。
⑤コード挿入型
トニックブレイクに近いのですが、Ⅰに解決する前にⅡ♭maj7を挿入してルバートからのⅠで解決したり、曲のコード進行をルバートに変更して終わっていくパターンがあります。後者はSpain /チック・コリアを聴いてもらえればいいと思います。ちなみにⅡ♭maj7もチック・コリアがよくやっています。
Ⅰに解決しないまま終わることもあります。
⑥コード延長型
曲の最後のコードの尺を伸ばしてエンディングにするパターンがあります。たとえば最後の2小節が|Ⅱm7 V7|Ⅰmaj7 |だったら、|Ⅱm7 |V7 |Imaj7|に変更するような感じです。これは実質ドミナントが伸びるコード進行に変えるということで、ドミナントペダル系と言ってもいいかもしれません。
⑦ドミナントペダル
V7を引っ張るパターンです。すごく引っ張るときもあれば4小節で終わる場合もあります。
あるいはⅡm-Ⅴを繰り返すパターンも理論的にはこれにあたりますが、逆順がⅢに向かいそうでⅡへ戻るパターンになるので別に分類してもいいかもしれません。
⑧ドラムソロ
ドラムが盛り上がったらドラムソロに全振りしてそのまま終わってもらうパターンです。みんなで終わる場合はトニック・ルバートが一般的。


フローチャートが必要だと感じる

イントロ、エンディングともそれほど沢山のパターンがあるわけではないし、ましてやセッションなどでは”お決まり”のパターンがほとんどになります。ただ、エンディングで分岐があったり、イントロと紐ついていたり(ヴァンプなど)、リズムスタイルによって使われやすい傾向が出たりします。

もうちょっと整理してフローチャートを作ってみたいと思います。
「こんなイントロもあるよ」とか「こういうエンディングを見落としてる」とかありましたら教えてくれると嬉しいです。(だいたいこんなところだとは思うけど・・・・)


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