眠らない店

 閉店作業するのは、さみしい。最近、遅番に入って人生初の閉め作業を教えていただいたが、どうもさみしくてさみしくていけない。なんというか、別にキツいとかではない。先輩も同期も一緒だし、早く帰らせてもらえるし。でもなんか、「おわり」という感じがすごくて、なんとなく気分が沈む。なぁこれみんなそう? 私は一生おもしろマンでいたいのであんまネガティブ発信器になりたくないのだが、閉店作業ってなんか「おわり」なんだなって思わん? 学生バイトのときはずっと早番でクローズまでいたことがなかったので、しんしゃかになってからの初めての壁かもしれん。クローズさみしい病。開店作業は昔からだいすき、だってすごく「はじまり」だし「これから」と思う。新人が最初に教わる朝の掃除が、卒業までずっとすきだったし、店内がだんだん明るくなってきて、開店のアナウンスとお客様がご来店される音が大きくなってきて、ぜんぶすき。閉店はぜんぶ逆。人気(ひとけ)がなくなって、暗くなって、なんだか店全体が眠りにつくようで、もうこれでぜんぶおしまいな気がしてしまう。そんなことないんだけど。ないんだけどさ。何時間かすればいつものように明かりがついて、出勤して、また始まるのだけど。オープンとクローズは再生と死だと思った。うちの店は毎晩死んでいるし、毎朝生まれている。スーパーマーケットシミュレーター実況で、キヨっちゃんが「うちは眠らない店」とバカデカ声で言っていたのを思い出す。眠りたくないね。眠らないで。それ以上のことなんて、どこにもありはしないのだ。


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