見出し画像

【EDH】深海の調査員、モルヴォの勝利宣言

はじめに

《勝利宣言 鬼丸「覇」》というカードをご存じだろうか。

Magic: The Gatheringの弟分、デュエル・マスターズに登場するカードで、
高い主人公性と非常に強力な効果を持つ人気の1枚である。
初登場より10年以上経った今でも、
「あなたにとって切り札といえば?」という問いに「鬼丸「覇」」と答えるデュエル・マスターズプレイヤーは決して少なくないだろう。

そんな彼の効果をMTG風に表現すると次のようになる。

《勝利宣言 鬼丸「覇」》 (9)(R)
伝説のクリーチャー — 人間・ドラゴン・戦士・エレメンタル
速攻
勝利宣言 鬼丸「覇」が攻撃するたび、防御プレイヤーと激突を行う。
あなたが勝つか、同じマナ総量のカードを公開したなら、このターンに続いて追加の1ターンを行う。これにより公開したカードをライブラリーの一番下に置く。
7/7

デュエル・マスターズのルールには基本的にインスタントタイミングの打ち消しや除去が存在しないことを考慮すると、
「勝利宣言 鬼丸「覇」は打ち消されない。」
「あなたのターンであるかぎり、勝利宣言 鬼丸「覇」は呪禁を持つ。」
というテキストを加えてもよいだろう。

とんでもない1枚である。
どれだけ絶体絶命の状況でも、デッキトップから引き当てた「鬼丸「覇」」が追加ターンを取り続けて大逆転してしまう姿は、まさに主人公の切り札と呼ぶにふさわしい。
ランプデッキのフィニッシャーとして定着したのはもちろん、コストを踏み倒して登場させてもフルスペックを発揮可能なことから、いわゆるガチャデッキの大当たり枠としても採用され、トーナメントシーンで活躍し続けた。
結果、一時は制限カードに指定されていたほどのパワーカードである。

ところで、なぜ急にデュエル・マスターズのカードの話を?

それはなんと、
先日発売された「カルロフ邸殺人事件」にてこのカードがMTGのカードとして登場したからだ!

ご覧いただこう、この多元宇宙へ現れた《勝利宣言 鬼丸「覇」》の姿を!



タコじゃねーか!!!!

待ってほしい。記事を閉じる前に8メートルほど離れた場所から眼鏡を外してもう一度テキストを読み直してほしい。

!?

お前、「覇」なのか…?

しかし、追加ターンを取って3回殴るだけで勝利してしまった本家と異なり、モルヴォで殴り勝つには63回攻撃を通す必要がある
しかも、そのためにはそもそも追加ターンの呪文を63回引き続けなければならないのだ。とても現実的では無い。
やはりこいつは「覇」ではないのか… 所詮《鬼無双 カイザー「勝」》(デュエプレ未実装)でしかないのか… あぁ、彼にも《黄金世代 鬼丸「爆」》 のような相棒が居れば…

???「俺に任せろ!」

「俺がデッキトップを《運命のきずな》に毎ターン固定してやる!
だからお前は相手がぶっ倒れるまで殴り続けろ!」

「「これが俺たちのビクトリー・ラッシュ!!」」

鬼丸と鬼無双のビクトリー・ラッシュによってサスペンスを退けたゴールデン・エイジ。
しかし、いつでもどの世界線でも主人公たちが勝利するとは限らない。

─これは、ゼニスと邪神の語られざる物語─
デュエル・マスターズTCG
アビス・レボリューション外伝
「邪神と水晶の華」
2024年2月17日(土)発売!!

以下おまけです。


コンセプト

前述した通り、「EDHで《勝利宣言 鬼丸「覇」》を再現して勝利する」がデッキのコンセプトになります。
そのため、まずは「デッキトップを追加ターンのカードで固定し続ける」ギミックを考えましょう。
先ほど紹介した
《血空の主君、ヴェラゴス》1枚コンボの他には、
《気流の言葉》&《神秘の聖域》、
《等時の王笏》&《神秘の教示者》、
の2枚コンボの組み合わせがありますね。

それぞれを比較すると
・《血空の主君、ヴェラゴス》
メリット:1枚コンボ
デメリット:召喚酔いする、2/3のコンバットを通し続ける必要がある
・《気流の言葉》&《神秘の聖域》
メリット:パーツがどちらも先置き可能、《神秘の聖域》のサーチ手段が豊富
デメリット:追放されないタイプの追加ターンを事前に表にしておく必要がある、島が3枚必要なので序盤には成立しない、構築の段階で島を十分に採用しなければならない
・《等時の王笏》&《神秘の教示者》
メリット:盤面の状況に左右されない
デメリット:パーツがどちらも先置き不可、ファクトメタに引っかかる

これらを考慮して今回は《血空の主君、ヴェラゴス》と《気流の言葉》&《神秘の聖域》を採用することにしました。

デッキリスト

というわけでデッキリストがこちら

晴れる屋のリストは固定。これを下記で解説していきます。
Moxfieldのリストは最新版です。

補足として、このリストでの激突の勝率は40%くらいのイメージです。
例として、直近の構築済み統率者デッキと激突した際の勝率がこちら。

やはり緑が入ったデッキは重いカードが多くなる傾向があって激突勝負で不利なのがわかりますね。
激突を行う相手は防御プレイヤーになるので、攻撃先はよく考えましょう。

各カード役割別解説

①追加ターン

癖の無い8マナ以下の追加ターンは最大限採用。
追放されないタイプの追加ターンはさっさと《探検》として使って墓地に落としておくと《神秘の聖域》を強く使うことができます。
《明日の標》は《原初の征服者、エターリ》、《歯と爪》、《深淵への覗き込み》等にも激突で勝利することができるので《運命のきずな》の実質上位互換なんですよね。知ってました?
ジェネラルキャスト&追加ターンがくっつくと、
10マナ払ってあたかも速攻付きのジェネラルが突っ込むので、やはりこいつは鬼丸「覇」!と言い張ることができます。

②デッキトップ操作

デッキトップが土地だと激突に必敗してしまうので、
《現実チップ》や《洞察のランタン》で確認しながらフェッチランドで弱いトップをリセットしましょう。
かつて「60枚で《精神を刻む者、ジェイス》を再現するデッキ」と呼ばれたランタンコントロールのキーカードが
「100枚で《勝利宣言 鬼丸「覇」》を再現する」このデッキで採用されているのは感慨深いですね。
また、その《精神を刻む者、ジェイス》もこのデッキととても噛み合っています。
毎ターンドローできるPWというだけで追加ターンと相性が良く、アドバンテージを取りながら自分のデッキトップを強くできるだけで十分なのに、なんと相手のデッキトップまで操作してしまいます。小マイナスでヴェラゴスの道を開けることができ、さらに無限ターンを取った際は、奥義連打で盤面によらずゲームを締めることができる、とすべての能力が強力です。ガチンコジャッジ必勝のフィニッシャーってそれはもう《Q.Q.QX》なんよ。

③サーチ

《師範の占い独楽》か《洞察のランタン》にアクセスできるとゲームプランが非常に立てやすくなるので、アーティファクトサーチも採用
足回りのパーツが揃っている場合でも《一つの指輪》、《うろつく玉座》、《ボーラスの城塞》とサーチ先には事欠きません。
《吸血の教示者》、《神秘の教示者》に関して注意点。
モルヴォの能力は「攻撃したとき激突する」「激突に勝ったとき踏み倒す」の2つに分かれています。
そのため、攻撃誘発スタック教示者で強いカードを積んだとしても、激突解決前に除去されてしまうとそれを見せて特に何もなく終わりです。相手除去持ってるけど使いたくなさそ~、という気配を感じたら下手に積み込まずガチンコで激突してください。

④アドバンテージ源

先ほどは、モルヴォの能力が2つに分かれているということをデメリットのように紹介しましたが、
逆に言えば《うろつく玉座》で倍々にできるということです。
攻撃時に2回激突、どちらも勝ったら4回ドローと踏み倒し、とさすがにゲームが決まるアドバンテージを叩き出します。
クリーチャータイプは「ならず者」を宣言しておくと《フェアリーの黒幕》も追加で誘発してお得ですが、《The Tabernacle at Pendrell Vale》を置かれそうな時は「タコ」を宣言しておいたほうがヴェラゴスが巻き込まれなくて安心です。

⑤マナ加速

10マナ揃えてジェネラル&追加ターンが狙うところなので《厳かなモノリス》、《金粉の水蓮》と《通電式キー》、《多用途の鍵》のような重めのマナ加速のセットも採用。
《急嵐のトリクス》は、上家のエンドに飛び出してきて10マナかかるジェネラル&追加ターンの支払いを軽減できるのでつまり《流星のガイアッシュ・カイザー》なんですよね。

⑥カウンター

追加ターン通すための軽い打ち消しを増やすと激突に勝てなくなる、激突用の重いピッチカウンターを増やすと身動きが取れなくなる、というジレンマがあるので配分は試行錯誤中です。

⑦ジェネラル防御札

立花響、通りますか?
なんすかそれ?
《同期の妖精》ですね。

⑧無限ターンへの障害をクリアするカード

無限ターンを成立させるための障害となる、
相手の《オークの弓使い》、《フェアリーの黒幕》、《黙示録、シェオルドレッド》、《つるむ面倒》や
自分の《魔力の墓所》、《闇市の人脈》、《一つの指輪》を処理したり相殺したりするカードです。
この中でも《つるむ面倒》はエンチャントという青黒で処理しにくいタイプである上に、登場したばかりということもあってお試し採用に遭遇する可能性が高そうでした。そのため2マナのパーマネントバウンスを《サイクロンの裂け目》に加えて、実質ツインパクトで激突に強い《徙家+忘妻》、デッキトップを操作できる《許可なき脱出》も採用し、合計3枚と多めに確保してます。

⑨土地

《神秘の聖域》のための島カウントは
《Underground Sea》+《湿った墓》+基本島7枚+フェッチランド8枚で計17
黒マナも確保した上で激突のために土地は最小限にしたい、ということで色マナの出ないシステム土地は《古の墳墓》と《ウルザの物語》(と《宝石の洞窟》)だけです。

※検討したけど採用しなかったカード

60%で何もしないので、激突を行うと書かれたカードはジェネラル以外不採用。
とはいえ、《貯め込み屋の欲》は「実質《R.S.F.K》や!」って一発ギャグがあるからありかもしれないです。


軽いカードと重いカードのバランスが他のデッキより重要で、調整のしがいがありますね。

最後に

このデッキ使ってみたい!と思って卓に持ち込む場合はレベル7〜8、Challenge帯です、と申告するのをオススメします。
デッキトップを対戦相手と捲りあう激突という珍しいメカニズムを中心にしているので、ランダム要素とコミュニケーション要素があってうまく盛り上げると非常に楽しいのですが、
その中身は60%で何もしないタコを介護するための青黒のパワーカードを詰め込んだ節操の無いデッキな上に勝ち筋が無限ターンのみ、とこれにBattle帯で同卓することを快く思わない人もいるでしょう。

逆に言えばヴェラゴスと追加ターンと汎用パーツ突っ込めば組めるので、
鬼丸「覇」殿堂解除されたけど結局使ってねぇなぁ、って人は遊んでみてね

いつも通り意見感想質問罵詈雑言はコメントかTwitterまで

それではまた、
次は《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》がMTGに登場したときに会いましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?