昔、感じた感動が思い出せない

はまってる俳優やキャラが好きすぎて自分の中で、そこにだけスポットライトがあたって、他のものがピンボケして見えなくなってる。
「推しばっかり見てる」「推ししか見てない」状態。今の自分がこれ。

歳をとると、自分の中のストレージ容量も少なくなって、全体の解像度上げられないのか、ますます拍車がかかる。
「あぁ~自分、偏ってる」
「作品作ってる人に申し訳ない」
「でも、今、こいつしか見えてないな…」
「もう、こいつしか見たくない!」
…この状態、心地よいけど、恥ずかしくもあり、でもこれでいいんだよ!

ここ1ケ月、大河ドラマの武田信玄にはまりすぎて、演者さんの過去作を見始めて。
いまだにレンタル店で円盤借りてるアナログ人間ですが、TRICK、下町ロケット、新参者、結婚できない男…「うわぁ、阿部寛がたくさん」と、レンタル店の棚が壮観でした。

NHKの某作品にも出てるから、見てみようか…いや、これ、昔、大河の直虎で榊原康政(尾身さん)が好きすぎて、やっぱり演者さん目当てで見たじゃないか。お前、あの時、尾身さんしか見てなかったのか。
作品は面白かった。でも尾身さん部分に解像度あげすぎて、他がピンボケしてしまったのか。「作品作った人に申し訳ねぇ」という罪悪感が湧き上がってくる…

昔見た作品、大筋は覚えてるけど、細かい部分、すっぽり忘れてる。…老化ですか?感動する心が弱くなってる?。当時は感動してたけど、忘れてるだけなのか。これが普通のことなのか。

で、坂の上の雲を借りてきたよ。あの重厚な作品を。今、4巻までみたけど、見始めると、ずっと見てしまう。あれ?飽きない。
政治や戦争がメインテーマで、見るのに腰が重かったけど、主人公の家族、友人、同僚、上司が描かれてて、人の生活の根っこは、みんなそんなに変わらないのか、ずっと見ていられる。

でも、放映時、この作品を見て何を感じてたのか思い出せない。藤本さんの広瀬がかっこよかったとか、渡哲也が手をばっとあげて、ばっとおろして、渡辺謙ナレーションが「丁字戦法のはじまりである」→「次回予告」の流れがかっこよかった記憶はあるんだけど…
ドラマガイドを買ってたので、何かしらのことを作品から感じてたはずなんだけど、思い出せない。

今回、見返して、香川照之の正岡子規サイドが、じーんと、じわじわと染みた。伊東四朗のお父さんも胸がいっぱいで。徳井優さんの駐在さんも人情味あっていいよね。「きゅうり封じ」の風習も、夏の暑さを感じさせて好き。菅野美穂とモックンの役、お互い大事に思ってるとこ、胸がいっぱいになる。

あと、ウクライナ侵攻が続いている今だと、日露戦争でバルチック艦隊と対馬のあたりで海戦してたってのが妙にリアルで(放映当時は“遠い歴史”の時代の話として見てた気がする)。あの海域に…今も眠っているのかと。

歳を重ねると、若いときに気づかなかった良さを発見すると聞くけど、今の自分だから、感じ取れるものがあって、逆に、今の自分だから、分からないこともあって。

15年前の放映当時は、阿部寛の秋山の兄さんより、主人公のモックンに感情移入していた気がるする。兄さんの良さを理解するには若かったんかな~。今回、見返して、兄さん、ちょっと、かっこよすぎたね…馬と一緒の場面とか、晩酌しながら本読んでるとことか、酒のみながら戦場で指揮するとことか、「生きて帰ってきて!」って奥さんに言われて、返事はせずに微笑むだけって、ちょっと、かっこよすぎる…かっこよすぎるな。
こういう「秋山の兄さんかっこいい」以外にも、心が動かされた場面は全編ちりばめられてて、作品のすごさを言葉にしたいけどできなくて、あぁ、作品に出合うってのは、こういうことなのかな。

10年後、今、感じたことは忘れてしまうかもしれないけど、今、感動できてれば、それでいいのか。

●余談
ゴールデンカムイの軍服、かっこいいけど派手だなぁ~と感じてたけど、坂の上の雲の軍服もほとんど同じだった。あれ?ほぼ実際の軍服に忠実なのかな?時々、阿部ちゃん、鶴見中尉っぽく見えてしまった。似合う。

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