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母を亡くして始まった ”ここではないどこか” への空想 -「What is Like」公演に寄せて

ベイビーシアター『What is Like?』が2021年12月、東京(12/11-)京都(12/17-)にて上演されます。この作品は、2016年のBEBERICA立ち上げ当時に、初めて作った作品をリクリエーションして生まれました。
コロナ禍を経て、東京ではおよそ3年ぶりの公演となります。
何回かに分けて、公演についての読み物をお届けしようと思います。
今回は、「作品テーマ」についてお話します。
語り:BEBERRICA代表 弓井茉那

前身となる『What’s Heaven Like?』公演の様子

母を亡くして始まった ”ここではないどこか” への空想

今回上演する作品には、二つのテーマがあります。
”ここではないどこか” がもしあるなら、その世界を赤ちゃんと一緒に作りたい。
目に見えない・耳には聞こえないような、大きなものの存在と自身のつながりを感じたい。この二つです。

2016年の団体立ち上げ当時、初めてベイビーシアターを創作した際、自分の人生を通して考えたこと以外に、題材は見当たリませんでした。
実は私は3歳の頃に母を亡くしてまして、非常に寂しい子ども時代を過ごしていました。父が私のことを膝に乗せて、「お母さんは空の上にいて、いつも見守ってくれているよ。」と、ずっと言ってくれていたことを覚えています。

その時から、「ここではない世界がある」と子どもながらに空想が始まりました。
空想したその世界に母がいる。そう思うと同時に、母とは違う人もいると思っていて。そこはどんな世界だったらいいだろう、こうあって欲しいという願いを日々思い描いていました。

これは、私の非常に個人的な体験ではありますが、「他界した」「遠いところへ行った」「うちに来てくれた」「授かった」と、人が死んだり生まれたりすることに ”ここではないどこか” は日常的に使われています。
”ここではないどこか” は、普遍的に多くの人の中にもあることだとも感じました。

”ここではないどこか” があるなら、赤ちゃんと一緒に作ってみたい。そんな世界を赤ちゃんと一緒に探求してみたい。そう思ったのが、テーマ選びのきっかけの一つです。

それとともに、「赤ちゃんとその日の上演を作る」というスタンスは、ベイビーシアター全体に共通することでもあります。
赤ちゃんが、泣いたり、笑ったり、大人から見たらちょっと奇想天外に見えるような反応も、どんな反応もすべてその日の演劇になっていく。
だから、「赤ちゃんとつくる」というテーマは必然でもありました。

(ちなみに、BEBERICAのミッションは「あかちゃんといっしょに世界をつくる」です。)

ベイビーシアターは赤ちゃんとともに楽しむ演劇です。
これらを言葉ではなく、パフォーマーの動き、発する音や、空間を包み込むような柔らかな光、触れることのできる美術などを用いて、赤ちゃんの五感に働きかけ、赤ちゃんも大人も一緒に身を浸し、心地よく体験できるつくりになっています。

この作品で現在の公演スタイルが確立され、今ではBEBERICAの代名詞的作品になりました。
記事下に『What’s Heaven Like』の1分動画を上げているので、良かったら見てみてください◎ みなさまのご来場、楽しみにしています。


あかちゃんとおとなのための演劇 ベイビーシアター『What is Like?』

東京公演 12/11(土)-12(日)  @いろむすびcafe
京都公演 12/17(金)-18(土)  @QUESTION(京都信用金庫)
🎫親子セット(保護者1名+子ども1名)3,000 円 ※追加1名1,500 円
🎫おとな一般(枚数限定)1,500 円

公演の詳細はこちら▼


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