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轟が鈴蘭でも鳳仙でもなく鬼邪高にやってきた理由

タイトルが新書みたいになっちゃった

数々の衝撃に襲われることで有名なザワ。
そのひとつに「クローズ」世界と地続きであることがある。
SWORD地区のすぐ外(電車で数分)には「戸亜留市」が存在し、そこには鳳仙と鈴蘭がある。
それは他でもない轟の口から語られる。

「スキンヘッドが一枚岩になってくる殺しの軍団」
「四天王がいてその上にはクソ強いアタマがいる」
「そんでそいつすら勝てなかった男がいる鈴蘭って高校もある」

不良狩りをするにあたって情報収集した末なのか、はたまた狩っている最中に聞こえてきた断末魔の欠片か。
人と繋がりを持たない彼だからこそ情報は武器となる。

しかしそうなってくるとひとつ疑問点が出てくる。

「なぜ轟は鈴蘭や鳳仙に編入しなかったのか?」

もちろんザワはシリーズでもかなり後発の作品である。
ハイロー初期の頃にはまさかコラボするなんて制作陣、視聴者も夢にも思っていなかっただろう。

「後付けだから仕方ない」の一言で片付けられる問題であるが、ここは轟オタクとしてなんとか説明をつけたいところである。
一日仕事を潰して熟考してみました。


不良を狩るためならば鈴蘭はうってつけだ。
なにせ全校生徒が筋金入りの悪である。
波風立たせずに過ごす方が難しい。
そして同時に「鈴蘭生」であることは最高の撒き餌ともなる。
鈴蘭を憎む者、倒して名を挙げたい者はいくらでも寄ってくる。
獲物に苦労することのない学生生活が送れそうだ。

鳳仙も別ベクトルでうってつけだ。
組織の形態が非常にハッキリとしている。
モブキャラは全員スキンヘッド、戦闘力があれば髪を伸ばせる。四天王がいて明確なアタマがいる。
サラサラ黒髪ストレートな轟が編入すれば秒で絡まれること請け合いだろう。
そして四天王とアタマを降せば自分がトップ。
「仲間」というものがよくわかっていない轟でも、いや轟だからこそ「下僕」ともいえるスキンヘッド集団は理に敵う。
それらを引き連れて鈴蘭を潰せばおそらく不良界ではトップに立てるハズである。
考えれば考えるほど鳳仙は轟に向いている。

じゃあ一体なぜ?

前提条件として「鈴蘭鳳仙の存在をいつ知ったのか」が重要になってくる。
明確にされていない以上、仮定の話しか出来ないがいくつか可能性がある。

可能性その1。
「下調べをほぼせずに一番最初に聞いた鬼邪高に入ってきた」
そもそも轟洋介はおっちょこちょいである。
定時と全日に分かれていることも知らずに編入してきた(ヘッダー参照)。
行動力の塊ともいえるが、割と突発的な一面(いや全面か?)がしばしば描かれる。
「鬼邪高ってとこがすごいんだな、行ってみよ」
「えっ定時なんてあんの?」
からの
「あ〜調べたら鈴蘭と鳳仙ってとこもあんだ」
このパターンだ。非常にしっくりくる。
初登場時のキャラクターにも合っている。

可能性その2。
「鈴蘭鳳仙の存在を知った上で鬼邪高に来た」
なんらかの理由であえて鬼邪高に来た、というもの。
正直ここまで下調べできるヤツが定時の存在を知らないとは思えないので、可能性としては薄め。
前述の通り、定時を抜きにすれば鈴蘭も鳳仙も轟の性格にはマッチしているのでそちらに行くはず。

可能性その3。
「なんならずっと知らなかったが、村山にお説教を食らった後に勉強して知った」
尊い説。
可能性その1からのこれが有力?
「拳が強いだけじゃダメなんだよ」とお説教を食らった轟。
「じゃあ何が必要なんだろ〜?」とドラマから映画にかけてずっと悩んでいた。
むしろそれが軸となり、答えの「楓士雄」が来たというのがザワストーリーのひとつなのだが(脱線)
昼休みに放送室で君主論を読む男である。
その流れでアタマがいる不良校を調べていたとしても不思議ではない。
「なるほど、鳳仙ってとこにはアタマいるんだ」
「えっそいつでも勝てなかったヤツは鈴蘭?なのか」
↑これを嬉々として河原で語っていた轟、可愛いね。

おそらくフィーリングでこんな感じかな、と考えているファンも多いかと思う。俺もその1人だった。

しかしあんまり納得ができない。
後付けということに対しての屁理屈にも思えてきてしまう。実際そうなのだが。

果たしてその答えは出た。唐突に。

「轟は荒れた高校に行きたかったわけではない」

これだと思う。
一番遠い気がしていた可能性その2が近い。
あまりに突飛かもしれないが聞いてほしい。

喧嘩偏差値で言えばおそらく鈴蘭鳳仙の両校は鬼邪高全日よりは上だ。
ザワラストでの楓士雄vs佐智雄のタイマンの結末でもそれは示される。
それはある種の宗教上の理由ともいえる。
ハイロー制作陣からすればバイブル、お手本、リスペクトしてしかるべき両校である。
そこには絶対に覆せない壁がある。
ただ定時はまた別で、あの鳳仙すら軽く引くレベルであることが示唆される。
これはこれでクローズサイドからのリスペクトだろう。

では何故か?
そもそもの轟の目標は何か?

「不良を狩ること」
「不良校に進学すること」
「アタマになること」

全てNOだ。

それ自体はあくまで手段である。
彼は登場してすぐ明確な目標を叫んでいた。

「SWORDのテッペンとんだよ!」

そう、彼はSWORDのトップになりたいのだ。
そのために一角"O"である鬼邪高に来た。
鬼邪高を降し、他の勢力を降す。
拳ひとつで"のし上がる"。名誉と栄光のため。

これこそが初期轟の目的ではないか!

逆説的に言えば鬼邪高が有数の不良校であってほしい必要もない。
喧嘩偏差値が低かろうが(SWORDの一角としてはありえないが)轟にはどうでもよかっただろう。
なんなら鬼邪高じゃなくてもよかったかもしれない。
ただ自分の属性、もっといえば年齢などを考慮してみると
・バイクとかよくわかんねえから山王はパス。
(余談だけど轟には公共交通機関を使ってほしいし、なんならバスとか好きそう)
・未成年なのでラスカルズでは働けない。
(店長の倫理観がしっかりしてるので)
・高校に編入できるということは=戸籍があるのでルードもなし。
(キドラ!?なんだそれ?レベルの知識だからそもそも知らないかも)
・達磨はよくわかんねぇ。
(余談その2。鬼邪高以外では達磨が一番合ってるよ)
「よし、鬼邪高行くか」となる。

クローズは不良界の話である。
ハイローは裏社会も含めての話である。

不良と不良だけではない。
族やら囚人やらヤクザ、パリピ、反グレ、スラムなんでもあり。
漫画でいえば「クローズ」だけではなく「東京卍リベンジャーズ」や「新宿スワン」の連中が殴り合いをしている規模である。

それらを制してようやく轟は自分の過去と訣別できると考えた。

長すぎるし遠すぎるし険しすぎる。
しかし当時の彼にはそれしかなかった。
むしろ志の高さを評価すべきかもしれない。

付け加えると鬼邪高はハイロー世界での鈴蘭である。
「全国から有数の不良が集まる悪の巣窟」
荒れ具合はクローズZEROを超え、各地の番長がモブとして扱われる脅威の喧嘩進学校。
明らかにリスペクトがあり、それを越えようという制作者の意図がある。
そこに眉ひとつ動かさず、それどころか冷え切った笑みを浮かべて独りやってきた轟。
決して第二、第三希望できたのではない。

その情熱は誰よりも熱く高く、尊いものだ。

やっぱり最高だね。轟。


…とここまで書いたところでひとつ新説を思いついてしまった。

「轟は鬼邪高を制した後に鈴蘭と鳳仙も潰すつもりだったんじゃないか?」

「たまたま村山良樹という最高の漢に出逢えたために全日で"変わる"ことを選んだだけで、初期の轟なら?」

「なんなら編入して回って各地の伝説になってたかも」

…一番ありえそうで怖い。

やっぱり底抜けの、そして天井知らずの漢だね。轟ちゃん。

おわり

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