見出し画像

Who is the true Love 【真実の愛は】4

Rajanはゲストサービスの仕事にも慣れ、イタリア語もこの5年でだいぶ上達していた。

僕たちの部署ゲストサービスは、船上でも1番不人気な部署と言っても過言ではない。

毎日毎日ゲストからのクレーム対応、トラブル解決、様々な手続き。

他の部署も12〜14時間ほど働いてるし、勤務時間で考えるとどこも大変なのだが、ゲストから理不尽なことを言われたりするデスクは、精神的にもタフでないと務まらない部署なのである。

ゲストが興奮している状況でこちらは冷静にうまく取りまとめなければならないし、ゲストにはより満足していただく対応をしなければいけないので、とっさの頭の回転も良くなければならない。

夢を持って船で働いているわけではなく、
生活をしていくために働き出したRajanにとっては、すごく大変だったと思う。
指導役として励ましサポートしていた部分もあるが、1番大きいのはそばに彼女がいたからと言うのは大きかったのだと思う。
イタリア語のレベルアップもそうだがいろいろな細かいミスはありながらも、全般的によく頑張っていた。

それから、職場にもだいぶ慣れた5年後
ある程度蓄えも出来たのだろうか
2人は船の仕事を辞めイタリアに移住することを決めた。

Francesca の叔父さんが経営しているワイナリーでRajan は働かせてもらうことになった。

それからすぐ2人には可愛い男の子が生まれ、
その子が2歳になったと数日前にFrancesca から家族の写真と一緒にメッセージが届いたところだ。

今ではRajan のイタリア語も流暢になり、
これからも2人は仲良くやっていくのだろう。

前述した通り、船で出会ったカップルで長く続くパターンはごく僅かだ。
2人も僕から見たらFrancesca の方が彼を追いかけてて、Rajan はあまり真剣に将来を考えてない印象だった。

ただ、彼女の愛はいつでも大きかった。
そして、揺るがなかった。

ただ、このカップルを見て感じたのは、
外に見えているものが真実ではないこと。

僕は正直、心優しいFrancesca は彼のどこに惹かれたのだろうと不思議に思っていた。
彼女が不憫だなと思ったことさえある。

しかし、僕の見えない2人の世界ではRajanは優しく接しているのかもしれない。
彼はただ照れ隠しのために他の人の前で彼女に冷たくしてたのかもしれない。

そう考えたら彼女を虜にする彼の愛し方こそ、
真実の愛なのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?