スーパーヒーロータイムを取り戻したい話。
日曜朝の子供向け番組を大人になった今もまだ観ている。
私がこの時間を安心して過ごせたのは両親が9時頃に起きてくる日だけだった。
観ているときも安心できない。
いつ両親が起きてくるのかひやひやしていた。
「(溜め息)…また朝からそんなん観て」
「そんなん幼稚園児が観るものや」
テレビを観ているのが見つかったらそう咎められるから。
そして私はそそくさと自分の部屋に戻り、パジャマを着替えて良い子になる。
リビングのカーテンを開け、朝ごはんの準備を手伝い、(朝から子供向け番組を観ていた私に呆れている)親の機嫌をとる。
当時は小学4年生くらいだった。
一人暮らしをするようになって、自由な日曜の朝を手に入れたとき、ふと何かが脳をかすめた。
小学生の私がまだそこにいた。日曜の朝に取り残されていた。
見つけたら止まらなかった。
朝起きたらテレビをつけ、布団の中からスーパーヒーロータイムの始まり。
小さい頃手に入れたかった時間を今、手にすることで昔の自分を満たすかのように。
でも、本当はあの時欲しかった時間。
毎週観ているのにあの頃の渇きは癒えない。
いつまでも満たされない。
今、甥っ子と姪っ子がいる。
当時は私を冷めた目で見ていた姉も一緒になってテレビを楽しんでいる。
私の両親はおもちゃをもらって喜ぶ孫に目を細めている。
昔のことなど、もう誰も覚えていない。
私の気持ちになど気にも止めない。
あの頃の私を慰めてあげられるのは私しかいない。
この渇きが癒えるまでは、私の日曜の朝はずっとあの子の為の時間のままだ。
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