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「これは私には無理」で今日あったこと。

で書いたんですが、今日もこれに類する話がありましたので、ちょっと書いてみます。

懇意のコンサル会社から以下の依頼が来ました。謝礼もありとかでした。ところが、字数制限あり、800字以下だったのです。『所要時間15分想定』で書いたら、二問とも千字を超えました。私の専門領域ですから、下調べ無く数千字程度は15分以内で書けます。しかし、クライアントの程度もわからず、800字制限では、かなり専門用語を使って、端折って書きました。ギリギリ794字とか。

しかし、ぱっと読んで、日本人の何人がこの私の800字制限の回答を理解できるのであろうか?少なくとも数千字必要だと思う。クライアントに理解できるのか?略字の内容をわかるのだろうか?そもそもクライアントが理解できるなら、こんな質問を有償で依頼するのであろうか?なんて思いましたよ。

Twitterじゃあるまいし、800字制限で、グラフも図もなく、このような設問を記述して、数千円支払うって、意味がわからないのです。

字数制限なくして、長文で書かせて欲しい。

ロイド様、
お世話になっております。
株式会社〇〇の◎◎でございます。この度は、ご経歴を拝見し、空調衛生設備業界に関するご質問(2問のみ:所要時間15分想定)について、是非とも貴方様にご回答を頂きたくご連絡致しました。ご回答内容は、個別のクライアントにクローズドでの公開になるため、一般公開はございませんので、ご安心くださいませ。
Q1:空調衛生設備業界において、既存事業の枠組みを超えるような全く新しいビジネスモデルの開発などによる、ドラスティックな売上向上が見込める実現可能な方向性はありますでしょうか。
A1:当該業界において、EPC業務は建築市場バリューチェーン(以下、BC)の最も付加価値の低い分野である。BCの付加価値の高い上流・下流側はゼネコン・商社・不動産企業に握られている。市場分野も商用・産業用建築が主である。その枠組を超えるが、空調衛生設備業界の技術特性を活かせる新しいビジネスモデルは限られてくる。それは、エネルギー市場における1)案件形成、2)資金調達、3)代理店業務という上流分野と、4)課金収入、5)CERクレジット売買、6)PFI株式会社設立と株式公開、7)売電買電仲介業務という下流分野への進出である。
具体的には、1)民間資金活用事業(PFI 事業)、2)パブリックサポートサービス市場への参入である。パブリックサポートサービス市場への参入はPFI などにおける施設建設がきっかけになる。当該市場規模は、2007 年度では約4.4 兆円、2012 年度には約5.4兆円であったが、毎年増加を続けていて、2023年には15兆円に達すると推計される。
特に、現行では既参入組の多いパブリックサポートサービス市場ではあるが、海外、新興国において、IPP事業/カーボンオフセット案件(VER・CER)を手がけることにより、新規技術開発・製造業他社の優秀な製品の販売代理店契約を通じた拡販・製造業他社との提携による営業拡大・日本/新興国政府機関との提携での案件化などの手法を通じて、逆に、リバーステクノロジーとして、国内の新規分野の開拓、業務拡大に利用できる可能性が多くある。
資本収集方法としては、大口顧客とのB to Bでの資本契約と平行して、スマホ・タブレットベースでのB to Cモデルによる小口複数匿名投資家からの資本収集も考慮する必要がある。例えば、エネルギー会社の特定目的会社化を行い、発電単位ごとの小口販売を強化することにより、短期で複数外貨での資本収集が可能となる。
Q2:空調衛生設備業界において、既存の事業のみを続けた場合の今後3-5年間の株式市場からの評価がどう推移していくかを理由と合わせてご教示ください。
A2:既存の事業のみということは、EPCの内の調達、建設(新規・リニューアル)の2分野のみをほぼ続けた場合ということである。この場合、五輪などの特需が終了次第、業界規模の縮小が始まる。その結果、粗利率は同業他社との叩き合いで、今後3-5年間で2.5~3.5%から1.5~2.5%に低下することが予想される。
コスト面では、1)労働可能人口の激減によって、労務単価の上昇、2)3K業界での社員確保が困難となる、3)結果としての雇用可能社員数の低下(▼15%)が予想され、建築労務原価が高騰する。
企業の姿勢が「守り」から「攻め」に変化する中で、既存の事業のみを続けた場合、投資の意思決定スピードが遅くなる。従来の中流に位置(建設業)する「守り」の経営から脱せないため、上流から下流までをカバーする「攻め」の経営姿勢に至らず、従来路線を踏襲したままになり、未知の分野・マーケットを開拓することができない。
ここで意味する「未知」とは「不確実性」と読み替えられ、不確実性を適切にコントロールすることが重要な鍵となる。グローバル化の進展や金融市場の緊密化等に伴って企業経営を取り巻く不確実性は急激に強まっており、2008年のリーマンショックはそのマイナスの面が顕在化したケースといえる。昨年、今年の新型肺炎による不確実性の増大も同様、マイナスの面が顕在化しつつある。
企業としては、マイナスの不確実性(損失)を適切にコントロールしつつ、プラスの面(利益)を最大化する投資戦略が求められることが既存の事業のみを続けた場合不可能となる。
「攻め」の経営とは不確実性を踏まえた意思決定プロセスと捉えられ、そのためには、①多様性の確保、②フレキシビリティの発揮、③長期的視点、の3つの要素が不可欠となるが、そのレベルに移行できず、株式市場からの評価は幾何級数的に低下するであろう。



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