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ヒンズー教と仏教の原風景Ⅰ

世界の様々な歴史書を読む、司馬遼太郎まで書いているのだが、古代に栄えた #原インド人#ドラヴィダ人 の文明が、印欧語族である #アーリア人#インダス川 流域から #インド亜大陸 に侵入・侵略して、インドでの支配的な種族となった、とある。
本当かな?と思うものである。
インド・アーリヤ人の場合は、『 #インドへのアーリア人の侵略 』と表記しておいて、ゲルマン民族の場合は『 #ヨーロッパへのゲルマン民族の大移動 』と表記する。
『侵略』と『民族移動』では意味がおおきに違うのだが、それを誰も言わないのだ。
英語では、『インドへのアーリア人の侵略』とはあまり書かない。『インド・アーリア民族移動』 = 『Indo-Aryan migration』。『ゲルマン民族移動』 = 『Germanic migration』と同じなのだ。
ゲルマン民族移動の場合は、『蛮族』 = 『Barbarian』であって、先進的地域であるローマ・ギリシャのヨーロッパに民族ごと動いたから、 『Germanic Migration』なのである。アーリア人の場合は、鉄器や馬などをもたらしたが、原インド人(ドラヴィダ人)も高度の文明を持っていて、文明の衝突という印象を受けるから、日本語では、『インドへのアーリア人の侵略』などとあえて書くのだろうか?それとも、印欧語族で白色系人種のアーリア人が有色人種のドラヴィダ人文明を犯したからそう書くのだろうか?
しかし、ちょっと変なこともある。
『インドへのアーリア人の侵略』とは紀元前20C~15Cくらいの出来事であり、『ヨーロッパへのゲルマン民族の大移動』は紀元後4C~5Cくらいの出来事である。
そして、ゲルマン民族とは、ヒットラーの言うアーリア人だろう?インド・アーリア人は、イラン・アーリア人と同じく、アーリア人だね?中央アジアに蟠踞したアーリア人に変わりない。
それが、紀元前20C~15Cは、高度の文明を持ってインドに侵略した、それが、ゲルマン民族は紀元後4C~5Cに蛮族としてヨーロッパに大移動した。
文明的に、ゲルマン民族は退化したアーリア人なのか?

ヒンズー教と仏教の原風景1

上のマップ、色付けされたカスピ海・アラル海沿岸、アフガニスタン・イラン高原、これがインド・イランアーリア人の故郷、故郷なんだそうだ。コーカソイドというわけのわからない人種・地域名称で呼ばれていて、ここいらが彼らコーカソイド(アーリア人)の現住地であったと言われている。

ヒンズー教と仏教の原風景2

それが、上のマップのように、北はバルチック海・北東からブリテン島・アイルランド、中欧、南欧、イラン・イラクそして、インド・中央アジアまで移動して、印欧語族の祖先となったという説明なのだ。

高校の頃、世界史でそう習った。(私は理系だが、私の頃は理系でも世界史・日本史は必須だったのだ)じゃあ、この印欧語族の先祖、白人種の先祖、インド・イランアーリア人って何者で、具体的のゴート族とかアングロ族とかサクソン族とか、部族名でもあるのか?まさか、インド・イランアーリア帝国が一体となって、欧州・中東・中央アジア・インドを荒らし回ったわけではあるまい?と思っていた。だが、教師にしろ誰にしろ、筋の通った説明をしてくれた大人はいななかった。

インド史において、アーリア人の侵入は記されることも記録されることもなかったということだ。19世紀にヨーロッパの学者らが提唱するまでそういった考え方そのものがなかった。インド亜大陸といわれるほどの大きな地域を「征服」したというのに、「征服」した人々も「征服」された人々も記録に残っていないのだ。インドからその記憶が消えてしまったというのだろうか。

アーリア人侵入説はいかなる考古学的発見をも基にしていない。19世紀の時点ではまだほとんど発掘されていなかった。侵入説はあくまでも言語学的仮説だったのだろう。インド・ヨーロッパ語の相似からインド・ヨーロッパ語族の故郷がヨーロッパか中央アジアのどこかにあるにちがいなく、そこから移動と侵略がはじまり、インドに到達した。

もしそうした言語学的仮説が受け入れられるとしても侵略や移動は紀元前1500年かもしれないが、同様に紀元前6000年であってもおかしくない。実際そのような早い時期に、インドからヨーロッパにかけての広い地域にインド・ヨーロッパ文化が存在していたように思われる。古代では現在よりはるかにゆっくりと文化は発展し、拡大していた。なぜなら、徒歩以外に有効な移動手段が存在していなかったからだ。

アーリア人の移動はよく言われるような西方からインドに移動したのではなく、インドから西方に移動したのかもしれない。いくつもの大河をもつ亜熱帯のインド亜大陸人のほうが、荒涼とした中央アジアや寒冷な東ヨーロッパよりも、移動に必要な人口を生み出せるのではないだろうか?

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●A piece of rum raisin(note)
 目次ー小説一覧
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