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スタオベと布施さんについての一考察

 先日、私が主催するオープンチャット「布施明沼倶楽部」のZoom会で話題になったこと。それは布施さんのライブはほとんど、観客のみなさんが最初から最後までずっと着席されている、ということ。

 ファン心理的には、スタオベ(スタンディングオベーション、観客が立ち上がって拍手を送ること)をしたい気持ちもありつつ、なんだか布施さんのコンサートではそれがしにくい。他のアーティストだと、観客がずっと立っているようなコンサートもあるのに。という話。

 これは確かに、と思って、こうして記事にしてみた。

観客が立たないコンサートと立つコンサートの違い

 まず観客が立つコンサートと、そうでないコンサートの違いは何だろうか。
 
 立たない方のコンサートは、クラシックコンサートが例えとして分かりやすいと思う。私は兄がクラシックオタクなので、実家住まいをしていた時は時々一緒に観に行かせてもらっていたのだが、クラシックコンサートでは、基本演奏中、観客は立たない。最後の最後、演奏が終わってから、感動伝えたさに立って拍手を贈る人の姿が見られる。そして指揮者や演者も、そのスタンディングオベーションを受け入れる時間を取る。

 なぜ観客が演奏中に立ったり拍手をしないかと言えば、演奏は指揮者と楽器の演奏により完成されるものであって、それは邪魔されるべきではないからであろう。(ニューイヤーコンサートのアンコールで演奏されるラデツキー行進曲のように、観客が手拍子で参加をするもの、という慣例があれば、話は別だが。)つまり観客は、あくまで提供側によって作られた世界観を味わうことを許された立場と言えると思う。そこには、アーティストと観客に、明確な区切りというか、透明な壁がある。

 一方、観客が立つコンサートはどうだろうか。たびたび私自身の例で恐縮だが、元ビートルズのポール・マッカートニーのライブに行った際には、基本的にポール本人が舞台に出てくると、観客のほぼ全員が総立ちとなる。他のアーティストがどうかは分からないが、少なくともポールは観客との一体感を楽しんでいるようで、観客にコーラスに入るように求めることも多い。この場合、アーティスト側が、観客にその場の空気、そしてコンサートを一緒に作ることを求めている、と言えるだろうし、このとき観客は、コンサートの共作者と考えてもいいのかもしれない。

布施さんのコンサートの立ちにくさの考察 

 ここで話を布施さんのコンサートに戻す。

 私が思うに、布施さんのコンサートは非常にクラシックコンサートみがある。布施さんのコンサートは、ご自身も過去にパンフレットなどでおっしゃっていたようにあくまでいちショーケース(補足:最初から最後まで作り込まれた舞台のことを指されている)であって、布施さんは自分が舞台で作りたい世界観を崩さない。観客もそれを感じてただ味わう。ここはクラシックコンサートと同じである。

 アンコール曲によく組み込まれるMy Wayの間奏部分で、布施さんが観客に向かって礼をするのがこのところの慣例のようだが、そことMCのときくらいしか、舞台と観客とにある透明な壁が解ける時がないように感じる。
(ただ誤解を招かぬように明記しておきたいのは、布施さんは別に観客に対して冷たいとかそんなことは全くなく、観客のことをものすごく大切に思われていることは、その礼やMCからとてつもなく伝わってくる、ということだ。)

 そしてさらに、途中で感動してスタオベをしたくても、照明や布施さんを観たい背後の観客の邪魔になるんではなかろうかという心理も、スタオベの邪魔をする。

 また個人的には、布施さんの曲や声に圧倒されすぎて、立つことなんぞ頭から抜け落ちてしまうということもある。

 そうこうするうちに楽曲は全て終わってしまう。クラシックコンサートなら、終わってからその後、スタオベをする時間が与えられる。でも布施さんの場合、観客にスタオベする隙すらも与えない。アンコールの最後の曲が終わると緞帳はスルスルと速やかに下がり、また上がることはない。

 そうして、「感動したけど立てなかったなぁ」という観客が、椅子に残される。そんな感じなのではないだろうか。

まとめ

 過去の布施さんのコンサートでは、途中布施さんへプレゼントを渡す時間があったそうだ。しかしどこかのタイミングで、それはなくなったそうで、現在の形(つまり最初から終わりまで、休憩なしでいちショーケースとして作る)に徐々になったらしい。

 なのでおそらく、前述した形が今のところの布施さんのコンサートの理想形なのかと感じる。

 しかしこれはあくまでツアーコンサートの話。Jazz ライブや、Cozy Theatherという小さい劇場でのコンサートではまた違う構成、印象なのだと思う。(これらには私はまだ行けていない。)

 そしていちファンとしては、やはり感動の気持ちは何かしらの形で伝えたい。今はまだまだコロナのこともあるので、声を出すことは難しいが、拍手でその気持ちは伝えていきたいし、可能ならば勇気を持ってスタオベもしていきたい。書いていて、改めてそう思った。

 最後に…私もまだまだ歴の浅いファンなので、もし違った印象やご感想、ご意見がありましたら、ぜひコメントにていただけたら嬉しく思います!

 




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