ADHDがリモートワークを乗り切る3つのコツ

 新型コロナウィルスの影響でリモートワークを実施する会社が増えてきた。私の会社もその1つであり、当初は「やったぁぁあぁぁ!満員電車に乗る必要もないし、社内での物音や他の人間の存在に感覚過敏で悩まされる事もないし、飲み会も勿論ないし、なにより1人で好きなようにタスクを進められる!超最高!!」みたいなテンションであったのだが、始めてから間も無く「ひょっとしてADHDとリモートワークって相性悪い?というかリモートワーク自体が色々問題抱えてる?」と違和感を抱かされるようになった。
 その為、ここに違和感の原因及びその対処法を記すことにする。

・自室という環境の罠

 当然であるが、通常であれば自分の家ないし部屋は仕事することを前提に構築されていない。むしろADHDの部屋は仕事をするには最悪の場であり、あちこちに仕事に不要なものが転がっていることだろう。とりあえずそれらをドカしてタスクに着手しようとしても、恐らくドカす最中やふとした時に視界に入った本やゲームなどが気になってしまい、「ちょっとだけ…」となってしまい、そのまま「あとちょっとだけ…」を繰り返して、結果莫大な時間を浪費してしまう方も多いのではないだろうか?というか、私もそれである。助けてくれ。

 結論から言えば、これらの「ちょっとだけ…」誘惑に自分の意思のみで対処するのは不可能だ。というか、可能であればそもそも苦労などはしない。その為、こういった事態を防ぐためには「誘惑の対象を視界に入ったり、気軽に手が伸ばせないように隔離する」のがオススメだ。基本的には本、漫画、ゲーム機、スマホなどは仕事をする部屋から(仕事をする時は)出す。また部屋から出せない場合は箱にしまって手の届きにくい位置においておく。「ちょっとだけ…」という気持ちが起きないように、不要なものは目に入らないようにする。「ちょっとだけ…」という気持ちが起きても、手が届かないようにする。この二重防衛策がオススメだ。

・俺の身体はボロボロだ

 インドア派のオタクにとって自室とは、休日には1日中そこに座ってゲームなりパソコンをする場所であるので、ある程度はそれに適した環境を整えているかもしれない。私もインドア派のエロゲーオタクであり休日は1日中パソコンの前でエロゲーをしている人間なので、それに耐えられるようパソコン机や椅子はそれなりに良いものを使っている。または設備等がなくても、そのような生活に身体が慣れてしまったオタクもいるだろう。

 だが通常は自室という空間は「何時間も座りっぱなしで作業する」事を想定して構築されていない。その為、タスクを行う机や椅子は「何時間も座りっぱなしで作業する」には厳しい物である事は想像に難くない。

・俺の精神もボロボロだ

 またリモートワークは1人で作業するので発達障害者の中には「マイペースにやらせてもらう方が超捗る!」という方も多いだろう。しかしながら、発達障害のマイペースとは悪く言えば「過集中状態をずっと継続していく」ことである。良いも悪いも、自室という環境は過集中に入ったらそれを止めるものはない。

 結果として、ADHDの中には「何時間も座りっぱなしで作業するような事を想定してない環境で、過集中で休憩を取らずに長時間滅茶苦茶働いてしまう」という方も少なくないのではないだろうか?この働き方も短期間ならありと思うが、慢性的にやれば心身をぶっ壊してしまう危険性が高いだろう。

 これの対処法として最も良いのは「今すぐ机と椅子を良い物に変える」ことだが、それは難しい方もいるだろう。その為、ここでは直ぐに実践できてまぁまぁ効果がある方法として「ポモドーロ・テクニック」をオススメしたい。これは雑に言えば、

1.達成しようとするタスクを選ぶ
2.タイマーで25分を設定する
3.タイマーが鳴るまでタスクに集中する
4.少し休憩する(5分程度)
5.ステップ2~4を4回繰り返したら、少し長めに休憩する(15分~30分)

というものだ。過集中に入ってる時は休憩なんか頭から吹き飛んだり、「自分は今波にのってるんだ!この波を逃したら、いつまた波にのれるか分からない!」と休憩するどころではなくなってる方も多いだろう。要は自分で休憩のベストタイミングをはかる事など不可能だし、そもそもベストタイミングなんてないかもしれないので、「ある時間が過ぎたら強制的に休憩する」というルールを設けるのだ。またタスク遂行時間及び休憩時間については、出来る事ならば自分に合わせて調整し、その時間帯と感触を記録すれば、夷おのずと「ベストタイミング」をつかめるようになるだろう。

 また机や椅子を今すぐ変えられなくても、「椅子にクッションをしく」「膝に枕をのっけてひじ掛けを作る」「たまに立ったり、休憩時間中に軽い体操する」なども、やるだけで結構負担が変わってくるおでオススメだ。

・ONとOFFが別れない

 これこそリモートワークにおけるADHDの最大の落とし穴だと思っていてリモートワークはその性質上、自室を「仕事をしようと思ったらいつでも仕事が出来る」環境にしてしまうのだ。勿論、これは利点でもあるのだが、同時に「ONとOFFが明確に別れない」ことでもある。

 通常の勤務において我々は「机を片付ける」「退社する」「電車にのる」「家のドアを開ける」「着替える」という1連の流れの中で、半ば自動的に「自分の仕事は終わった」との実感を得て、労働中の緊張を解いていたのではないだろうか?しかし、リモートワークはパソコンの電源を落とすだけなので労働中の緊張がなかなか解けづらく、しかも自室にあるパソコンが視界に入る事でどうしても仕事を意識してしまう。

 その為、私はリモートワーク終了後に「自分は仕事を終えた!今からはプライベートモード!」と実感する為の儀式を行うことを推奨したい。とりあえず仕事用パソコンは仕事が終わったら目の入らない場所に置こう。そして、仕事が終わったら散歩でもお菓子を食べるなどして「気持ちを切り替える区切りにする」事をオススメしたい。また仕事モードに入る為にスーツに着替え、仕事が終わったら私服に着替えるなどもいいだろう。とりあえず頭が仕事モードだと休まるものも休まらない。

 会社で昼休みとして1時間休憩するのと、自宅で1時間リラックスして休憩するのとでは、どちらの方が心身が回復するかは明々白々である。仕事の時間が終わってまで、仕事のことを意識するのは出来るだけ避けよう。「もう仕事は終わった!」と実感する為の儀式を行い、部屋をオフィスから自室へと戻すのだ。

・まとめ

・仕事をする部屋から不要な娯楽物は目の入らない場所、手の届かない場所にドカす

・心身を壊さないように定期的に休憩をとるようにする

・部屋をオフィスから自室に戻すための儀式を行う




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