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クロージングが美しい、エドワードヤン

ニュー台湾シネマではホウシャオシェンとともに名を上げたスター監督のエドワードヤン。
彼の「カップルズ」は私のもっとも好きな映画のひとつとなっています。

なにがいいかって、エドワードヤンの作品は途中どんなにつまらなくっても、かならずきれいなクロージングでまとめてくれるんです。
ネタバレしちゃうと画像は、カップルズのエンディングなんですけれど、ここでホロリと来ないヤツは鬼畜だろうって思うくらいリリカルなクロージングなんです。

カップルズに的を絞って書くと、台北の街をうろつく4人の不良少年が主人公なんですが、この中にはまだほぼ無名時代のチャンチェンもいます。
そして彼だけ抜群の頭身の良さで、香港のウォンカーウァイに見出され、スターダムに駆け上りました。
この映画では4人の不良少年のうちではルックスを生かしたナンパ師の役を演じています。

そしてエドワードヤンの徹底した美学と言うんでしょうか、等身大の台北の街をリアルに描くんです。
あまり台北の街の喧騒と雑駁さが手に取るように伝わる描き方をする映画監督はいないので(みんなどこか恥じてしまうのかリアルには描こうとはしないんですよね)、エドワードヤンの存在が外国人から見ると傑出して見えるわけです。

チャンチェンが引っかけてきたガールズを4人の不良少年は共有し合う仲なんですけれど、フランスからイギリス人の恋人を追って台北の街にやって来た女の子を巡って、浸食を共にするほどの関係の4人の不良少年たちの関係は次第に崩壊していくんです。
そしてリリカルなクロージング。

エドワードヤンはやっぱり巧い!って私は思いながら見たんですけれど、やっぱり4人の不良少年が相当ナチュラルにワルなので、レンタルになるほどの作品ではなかったようで、10年くらい前は4,000円のでふつうに買えたDVDが、今ではアマゾンで22,000円になっています。
廉価版は出そうにないですね。
けどあのお値段がつくってことはそれだけの需要があるんでしょうね。
なかなか見る機会のない映画だと思いますが、ふつうにおもしろい作品なので、機会がありましたらぜひご覧ください。





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