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ジャンピエールレオーにスターの輝きがあった頃
この映画は、ポーランド出身の映画監督、イエジースコリモフスキーが撮った「出発」と言う青春映画です。
スコリモフスキーと言う監督は世渡りがヘタクソなんでしょうね。
ビッグマウス過ぎたのか反体制派過ぎたのか、とにかく溢れる才能と共に祖国を追われ、世界各地を転々としながら映画を撮り続けている監督です。
ですからこの作品も、国を追われてたしかハンガリーかどこかで撮られているはずです。
フランス資本も入っているので、主演にジャンピエールレオーをキャスティングできたんだと思います。
この頃のレオ君は20歳をちょっと超えたくらいで、顔立ちもシュッとして美しい青年に成長していますね。
ヌーベルヴァーグでもっとも成功したスター俳優のひとりと言っていいでしょう。
この数年後にフランソワトリュフォーのアントワーヌドワネル君シリーズで主演する時なんかすっかり挙動不審人物になっていてその後も数作ドワネル君シリーズは続くんですけれど、レオ君は挙動不審でコミュ障的なままでした。
ドワネル君シリーズは置いておいて、この「出発」なんですけれど、レオ君のかっこ良い姿を見るなら最後のチャンスかも知れません。
なにしろ設定がレーサーを目指す美容師ですから。スコリモフスキーもムチャ振りしますね。
レオ君は車を持っていないから、夜な夜な美容室のオーナーの車を勝手に拝借して運転の練習に励むんですけれど、そんなストイックな生活の中でもちゃっかり好きな女の子を見つけちゃうんです。
スコリモフスキーの演出もストレートなら、音楽担当のクシシュトフコメダのスコアも素直に聞きやすいんです。
コメダの作曲にしてはめずらしく、フランス語の歌詞が入ったチャーミングな曲があるんですけれど、これなんか青春爆裂って感じで、聞いてるこっちの顔が赤くなります。
スコリモフスキーもコメダも青春の追体験をしていたのかも知れませんね。
比較的イケメンのレオ君を見たい方にはお勧めの作品です。
レオ君は体躯も恵まれていないし、声の質もあまり良くないからもともとスターの器じゃないと思うんですけれど、「出発」ではなぜか二枚目フィルターがかかっている、そんなストレートな青春映画です。
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