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クリスマスに見たい映画一択

クリスマスと言えば、アレでしょ、「シベールの日曜日」
森のや湖のシーンのリリカルな描写や、シベールを演じたパトリシアゴッジのキュートさばかりが語られるような気がするこの作品。

そんな見方しかできんのか!?と、私としてはちょっと不満。
幼いシベールが生まれながらにして持っていた「女」の部分が明かされるクリスマスのシーンの緊張感は素晴らしい演出じゃないですか?

それまでシベールと言う本名を隠していた彼女が、クリスマスプレゼントに彼女にとっては恋人であるピエールに、「クリスマスプレゼントよ」と、自分の本名を書いたメモを入れた小箱を渡すシーンで、シベールって子はただ者ではないと思いました。

私ね、この映画を当時はまだ若かったベルナルドベルトルッチが見ていなかったはずはないと思うんです。
ベルトルッチは若い頃、イタリアのいいとこのボンボンのくせに「私の血にはフランスの血が流れている」とか言っちゃって、フランスべったりだったんですよね。

そう考えたら「ラストタンゴインパリ」での名前の秘匿性は、この作品からインスパイアされていると考えてもおかしくないと思うんです。
どちらの作品もヒロインが名前を明かした瞬間が破滅なんです。

シベールの日曜日はたしかにリリカルな情景の多い作品です。
けれどもシベールとピエール以外の大人たちはピエールを小児性愛者と決めつけて、ふたりを引き離そうとします。
けど、私はピエールが小児性愛者だったとは思えないんです。

戦時下にパイロットとして戦地に赴いていたピエールが、その凄惨さに記憶を失い、看護師のマドレーヌに拾われて、日常生活はこなせるようになったんですけれど、マドレーヌがピエールを愛していたにもかかわらず、ピエールの心に愛はなかったんです。

だからといってシベールを愛していたかと言うと、そうじゃなくて、同じ目線で付き合える、同士のような居心地の良さを感じる関係性なだけだと思います。
ほんとうにヤル気だったら、もっと早い段階でシベールを慰みものにしてましたって。

う~ん、クリスマスに見るにはちょっと重いかな?
けど名作です。

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