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ひたすらいまいましかった「存在の耐えられない軽さ」

これ、バブルの頃の映画なんですけれど、ツボにハマって、彼氏がいない女同士3人で週に3回見に行った、なつかしい映画なんです。
なにがそんなに私たちを駆り立てたかったって言うと、ダニエルデイルイスにそれぞれが理想の恋人像を投影していたんです。

知的で長身、美形でセクシー、そして頼りがいのある強さ。
この作品でのデイルイスはまさに私たちの理想の男性そのものでした。
それがどうして、ジュリエットビノシュみたいなモッサリ感溢れる女優さんと恋人設定になるわけ?

誰だったかな?おすぎとピーコのどちらかの方だったと思うんですけれど、ジュリエットビノシュを指して「大竹しのぶみたいな田舎娘」って当時言ってたんですけど、まさにそれ。
彼女は私たちと年齢も近かったし、デイルイスの恋人役は勘弁して欲しかったんです。
せめて妹役なら納得したんですけれど。

いずれにしてもジュリエットビノシュはレオスカラックスと付き合っていたので、レオスカラックスに面倒見てもらえ!って言うのが私たちの意見。
イケメン枠にまで手を出すな、ってことです。

この映画でデイルイスは、もうちょっと美しい大人の女優さんとも恋仲になっていたんですけれど、彼女を捨ててまでジュリエットビノシュを選んでしまうんです。
何が彼をそうさせた?
どこがそこまでいいんだ、ジュリエットビノシュの?
と、私たちは毎回そのことを話し合いましたが、最終的に「じゃ、私たちにもチャンスはあるかも?」って自分に都合のいい解釈で話をまとめたんですけれど。

私たちレオスカラックスの映画は好きでしたし、そこで見るジュリエットビノシュに対して敵意を感じたことはなかったんですけれど、それはあれが彼女のホームグラウンドだったからであって、そこから出て二枚目俳優と恋に落ちてもいいかって言うと、それはちょっと違うだろうって思っていたんです。

この映画はいわゆる「プラハの春」を軸にそれに運命を翻弄される恋人たちの、わりと真面目な映画だったんですけれど、私たちはダニエルデイルイスの美男っぷりばかりに気を取られて、そこから何ひとつ学ぶこともなく、デイルイスがジュリエットビノシュを口説くときのセリフ「take off your clothes」これだけが聞きたくて映画館に通っていたような気がします。
不埒ですね。

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