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ハンドメイド、「才能」ってなに?

なんか良くSNS上にいるじゃないですか。
「自分ブス過ぎてつらい」とかアピールする女。
これ、完全に甘えですよね、「いや、かわいいから」の返答待ちの。

それとよく似た書き込みをハンドメイド垢で見かけたんです。
「自分才能なさ過ぎてつらたん(T_T)」って。
なんか、看過できなくて「才能なんてものはありません、あるものは鍛錬です」って私、書き込んじゃったんです。
まったく余計なお世話で、敢えて火中の栗を拾う必要がないんですけれど。

さらに「ハンドメイドって言ったって意外とお金がかかるよね」ってまた、私の神経を逆撫でする書き込みをして来たので、「だったらやらなければいいじゃな?」って返信したんです。

これには私宛の返信はありませんでしたが、「他人にどんなに酷いことを言われても私はハンドメイドが好きだから、自分の信じた道を進んで行く」的な書き込みがあって、はい、ブロック。
バカにつける薬はありませんから。

この方の一番の認識の間違えは、「才能」と言うフレーズを逃げ道に使っていることです。
そうですね、ハンドメイド業界では「才能」ほど大げさな表現は必要ないです、「センス」くらいでちょうどいいです。

センスを感性と置き換えてもいいでしょう。
それを向上させるためにはたくさんの美しいものを見る必要があります。
絵画でも映画でも町並みでもなんでもいいんです。
美しさに触れることでインスパイアされて、クリエイティビティが降って湧いて来ることも多々あります。

どれだけの美しいものを見ることができるか、それが自称「ハンドメイド作家」さんたちの生命線ではないでしょうか。

私は社会人のスタートが彫金のアトリエだったので、いきなりデザインから販売までトータルでやらざるを得ない環境に放り込まれたんですけれど、「ビロード族」って分かりますか?
道端に黒いびろうどを敷いて、アクセサリーや針金で名前のブローチを作ってくれる人、今でもたまに見かけますよね。
まぁ、1970年代の文化なんですけれど。

彫金のアトリエの社長は東京芸大の彫刻科出身なんですけれど、ちょっと賢くて、ビロード族を鵜飼いの師匠みたいに束ねていて、上前をハネていたんです。
それで貯めたお金で独立してアトリエを作り、ふだんは商品の制作も気まぐれにやっていましたが、年に一度だけは一ヶ月くらい「社長のゲージュツ部屋」と呼ばれる倉庫に籠もって彫刻を作っていました。

そんな環境で仕事をしていたので、「才能」なんて甘えに逃げるバカは誰ひとりいませんでした。
あるものは技術の向上のための切磋琢磨、それだけです。

社長も手取り足取り教えてあげる♡ってタイプのひとではなかったので、ある日、会議の時に「いいか、おまえたち、なにが美しくてなにが美しくないか良く考えろ」って、一言言ったんです。

この一言は私にとっては百の教えよりも大きな糧となりました。
金属は意地悪な素材で、0.01ミリのズレでもバランスが崩れ、美しくなくなるんです。
才能とかそんな甘えたことを考える前に、ひたすら鍛錬です。
昨日の自分に今日は勝つ。
その心が今も私の背中を押しています。

甘えに逃げないでくださいね。

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