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アメリカ独立リーグは宝の山?日本プロ野球界大注目のアメリカ独立リーグについて

つい先日読売ジャイアンツがアメリカ独立リーグで2年連続MVPのアダム・ウォーカー選手の調査を行っていると報道がありました。日本プロ野球界では国内の独立リーグ出身者の選手も数多く存在しますが、アメリカ独立リーグから直接獲得するのはあまり聞いたことがありません。

そこでアメリカ独立リーグについて調べている内にもしかしてここは宝の山では?という考えに至りました。それに至った理由をアメリカ独立リーグの歴史を紐解きながら解説していきます。

①アメリカ独立リーグとは

北米MLBとその傘下のマイナーリーグ(AAAとか)とはまた別の独立した別組織の野球リーグです。独立リーグの歴史は古く19世紀末には存在しており解散や消滅を繰り返しながら現在では8リーグが運営されており、その中でも「アトランティックリーグ」「アメリカン・アソシエーションリーグ」「フロンティアリーグ」「パイオニアリーグ」がMLBパートナーリーグとして提携しています。

MLBやマイナーを自由契約となった選手や日本の選手も多く参加しており、独立からメジャーリーグへの復帰実績もありメジャーリーガーへの登竜門的なリーグと位置付けられています。

②独立リーグの過酷な環境

各リーグは地方の小都市を中心に展開され、中には本拠地を持たないチームも一部存在します。商業面においてマイナーリーグと競合することも多く経営は非常に不安定で、シーズン中にリーグそのものが消滅してしまう事例も少なくありません。選手も非常に流動的で、10人入団して週給制でダメならすぐにクビで、また10人入ってくるというサイクルの早さです。更に年齢制限とMLBでのプレー年数を基準とする厳しい選手登録制限が存在します。
給料も少なく、月に日本円にして15万円貰えたら良い方、月給2万円も珍しくないそうです。

③独立リーグでプレーするメリット

すぐにクビを切られる、給料も安いこんな過酷な環境でなぜ野球をするのかですが、前述の通り独立リーグはMLBの登竜門です。ドラフトにかからず、それでもプロを諦めない若者が独立リーグの過酷な環境で技術を磨きMLBに認められればマイナー契約を貰え、そこから這い上がることでMLBへの道が開ける可能性があるのです。そして更に独立リーグにはMLBのスカウトも多く視察していますが、韓国のプロ野球のスカウト、日本のプロ野球のスカウトも多くMLBでなくても契約が貰える可能性があるのです。仮に日本のプロ野球で活躍すれば好待遇、高い年棒が約束されますしMLBへの移籍実績も多いので日本をステップアップにしてMLBの契約を勝ち取ることも可能です。ほんの僅かなチャンスに懸けて独立リーグでプレーすることも全く無駄ではないのかもしれません。

④日本プロ野球界が独立リーグを注目すべき理由

これは非常に簡単で、身体能力の高い選手と安く契約できるからです。前述のアダム・ウォーカー選手もフリースインガーですがホームランを量産でき盗塁もできる足の速さがあるザ・身体能力の様な選手です。こういった選手はMLBにはゴロゴロいますので埋もれますが、日本ではあまりいないので日本の水に合えばとんでもない活躍をする可能性を秘めています。

もちろん日本プロ野球界に鳴り物入りで入ったホームランバッターが、変化球に対応できず全く打てないままクビになるというケースは頻発しています。そういった選手は実績があり契約金も高いので失敗した時のダメージも大きいですが、独立リーグであれば安い契約金でも来てくれますし、もし失敗してもダメージが少ないので懐もあまり痛みません。全くのハズレだった場合外国人選手枠を圧迫する危険性はありますが、実績のある選手を獲得して失敗するハイリスク・ハイリターンを取るより、ローリスク・ローリターン、もしくはハイリターンの可能性のある選手を一人獲得することは悪手ではないでしょう。

現在日本の独立リーグ出身者で多数の日本人選手が活躍していますが、独立リーグ出身者で首位打者はいますが、ホームラン王はいません。もし独立リーグ出身者でホームラン王が生まれるとすればアメリカからではないでしょうか。

⑤獲得するならピッチャー?

仮に筆者がスカウトでアメリカ独立リーグに行って来いと言われたら、筆者は投手を見に行きます。独立リーグの有名選手をリストアップし見るべきはまず球速です。身体能力は教えることができないのでアメリカで選手を探すならまずは球が速い選手です。アメリカは独立リーグでも150km/hを超える選手は結構いるので球速が出てあと一つ三振の取れる球があれば、日本で中継ぎとして活躍することができるでしょう。こういう選手は大抵ただ全力で投げているだけなのでコントロールは壊滅的であることも多いですが、そこは日本の投手育成力で改造することで改善する可能性もあり、実際に身体能力の高い選手を育成して中継ぎとして大成させた実績は日本に多数あります。

野手は微妙なところで、育成することはかなり難しいです。基本的に外国人選手を獲得する場合大半は実績のあるホームランバッターです。日本人には無いパワーでホームランを打ってくれということなのですが、その多くは適応できずに消えていきます。日本人球速が無い代わりに変化球をコントロール良く丁寧にコースをつくことが上手いので、徹底して苦手コースに変化球を投げ込まれる環境では本来の力は発揮されづらいです。

それに加えて日本は打率を上げる育成をできるコーチはいますが、ホームランバッターを育成する指導者がまだまだ少ないので本来適正でない選手に右打ちやコンパクトに振ることを強要しダメになった選手も残念ながらいます。日本人でホームランバッターもいますが、それは大抵誰かから教えられたのでは無く少ないアドバイスから自らを磨き上げた数少ない身体能力お化けの日本人に限定されます。

日本にはまだまだホームランバッターを育てる環境が整っている球団は少ないので、獲得するなら育成型より実績型を取った方がより確実性が増すということです。

⑥結論

・日本はパワーピッチャーが少ないのでアメリカ独立リーグの高い身体能力を持った選手を安値で契約し育成に成功できれば、ローリスクでかなりの戦力アップに繋がる。

・反面ホームランバッターは日本の育成環境で大成させることはかなり難しいのでアメリカ独立リーグの高い身体能力を持った選手を獲得しても効果が上がりにくい。

総合するとアメリカ独立リーグは日本にはない高い身体能力を持った選手が数多くいる宝の山であるが、戦力増強に繋がりやすいのはピッチャーであるということです。

今後筆者はアメリカ独立リーグは今後日本プロ野球界と大きく繋がりが出そうな予感がしています。

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