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プロフェッショナル

先日神保町にある登山用品店2軒で買い物をした。

1軒目Aショップでは、登山用の寝袋を購入したいという友人のためにキャンプフロアでお買い物。友人たちはテント泊での登山は未経験のため、店員さんにどの寝袋がどのような季節やシーンでの利用に適したものかを質問していたが、店員の接客が全くなっていない。聞かれたことに最低限答えるだけで、商品の在庫があるかどうかも見てきてくださいと頼まなければ調べに行かない。店員側から何かを提案してくることはなく、テント泊登山初心者の私が持っているものと同じものだからこれでいいか、という理由で購入。(2割引きチケットを持っていたためこの日はここに行ったが、もうこのお店は2度と選ばないだろう。定価でよいから納得のいく買い物をしたい。)

次いで近所にあるBショップに、友人の大型の登山用ザックと私の登山靴を探しに移動。ザックコーナーで商品を見ていたら店員さんから声をかけてくれ、どのような目的に使用するザックを探しているのか、と友人に聞いてくれる。ザックを試着した友人の体型にフィットするようザックのベルトを調整してくれ、そのザックにはどのような特徴があり、それぞれのパーツはどのように使うもの、と実際の利用シーンを想定したアドバイスをしてくれる。聞けば彼はそのお店の専任の販売員ではなく、登山ガイドと販売員とを兼任されているとのこと。山での実際の利用を想定した的確なアドバイスが出来るわけだ。

友人はお気に入りのザックに出会い、次は私の登山靴を探しに靴売り場へ。5年以上履いているミディアムカットの NORTH FACEがそろそろ買い替え時なのかどうか迷っていると店員さんに伝えると、買い替えの目安としては、靴底がすべりやすくなってきたタイミング、とのこと。確かに購入時に比べると滑りやすくなったような気はする。つま先やかかとなど部分的にゴムが削れたり剥がれたりもしていたため、買い替え時と判断し、新しい靴を店員さんに見繕っていただく。 NORTH FACE を履きやすく感じていたため同じメーカーのものがよいかと思っていたが、前回その靴を買った時からこれまでの間に登山靴も相当な進化を遂げたようで、今は軽量で、底はしっかりしているが足の甲を包む部分は適度に柔らかいものが主流とのこと。店員さんおすすめのイタリアのブランドの靴2点を試着し、よりサイズがフィットした方を購入した。デザインも私好み、履き心地もよく非常に満足度の高いお買い物が出来た。あの店員さんのアドバイスのおかげである。ちなみに彼は個人での登山ガイドを受けてくれるそうで、一緒に買い物をしたメンバーで、ぜひこの冬にスノーシューハイキングのガイドをして頂こう、ということになった。

最初に行ったAショップの店員さんは、おそらくそこの社員さんと思われ、次に行ったBショップの店員さんは、山岳ガイドと販売員を兼任しているアルバイトか業務委託など、社員ではない人。登山用品店での接客に向いているのは、山での道具の利用シーンに詳しい人。毎日お店で接客をしている人より、週の半分は山を歩いている、という人の方が山に対する顧客のニーズを的確にとらえ相応しいアドバイスが出来る、という一例だった。

山に関する仕事以外にもこれは当てはまる。最近企業や自治体でも社員の副業を歓迎したり、副業ワーカーを募集したり、といった正社員・正職員以外の働き方で、その業務の専門家の経験や知識を自社に導入する動きが増えてきたが、副業ワーカーのリソースをうまく活用できれば、働く人にとっても企業や自治体などにとっても大きな資産になるだろう。社員や職員にとっても、外部から入ってきた副業エキスパートから学ぶことは多い。

私は現在スポーツ業界でブランディングの仕事をしているが、ファンビジネスという共通点を持つ音楽業界のエキスパートの知恵を借りるとか、旅行業界でのマーケティング成功事例を作った人の経験を取り入れるなど、スポーツの外にも視野を広げ、パートナーシップを組める企業や個人を探さなければ。 登山用品の買い物から仕事における目下の課題に思いを巡らせ、頭に浮かんだことを整理しておくためにとりとめのないnote を書いてみました。

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