自分に呪われる

君を仲のいい友達だと思ったことはない。

友人に「俺は君にひどいことをしたが、俺は友達でいたいから許して」といったことを言われた。反射的にそう答えてしまった。そいつはいつもニコニコしていて何を考えているのか分からない。仮にそいつをA君としよう。俺はそんなAに気を許すことはなかったが一緒にいる時間は長い。それは二人でというよりも、複数の中の関係であった。二人の時は会話も弾まずという感じであった。だが、ある日関係は崩れた。

「友達でいたいから許して」とはどういう意味なのか。そいつは本当に俺と仲のいい友達だと思っていたのか。それとも、上辺だけなのか。どちらにせよ腹が立つ。

だが、この言葉を言ってしまったことで自分の首も自分の言葉に絞められている。安易に友達という言葉を使えなくなってしまった。相手が、自分と同じように考えていたらどうしよう、と思ってしまう。言葉の呪いにかかってしまったのだ。言葉には言霊と言った力があるように言われていたが、これもある種その一部であろう。

もう自分を呪いたくはないものだ。



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