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斜陽(太宰治)を読んでみた。

春休みに入っていつも読まない本を読んでみたくなって斜陽を読んでみた。

高校生の頃、人間失格を読んで強く感銘と共感を覚えた。

太宰治に共感を受けてたら社会で生きていけなくなりそうだなと思いながらも引き込まれた。

斜陽を流れる空気は、退廃的で、破滅的で、虚しさと、寂しさでできている。

でも、その中に何か捉えがたい熱があって、灰色に見える世界がよりひかりを放つ。

ここには論理的構成も、明確な読者へのメッセージもない。

ただ人が生きている、生きていこうともがく姿が描かれている。

ひとつ言えるメッセージとは
生きていることだ。

後半の展開の速さは止まらない。

読後に鮮明に思い出すのは、お母様のスウプを飲む書き出しの描写の立体感。

以下本文抜粋
「何も無い。何も無い。忘れてしまった。日本に着いて汽車に乗って、汽車の窓から、水田が、すばらしく綺麗に見えた。それだけだ。電気を消せよ。眠られやしねえ。」p.61

「夕立の晴れた空にかかる虹は、やがてはかなく消えてしまいますけど、人の胸にかかった虹は消えないようでございます。」p.83

「生きている事。生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。」p.140

「けれども私たちは、古い道徳とどこまでも争い、太陽のように生きるつもりです。」p.166

読書はいつも果てしなく広く深い世界に連れて行ってくれる。

新潮文庫

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こんな自分勝手な文章に共感を持ってくださったら嬉しい限りです。